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怪奇との戦い。
その言葉の意味することがなんと無しに理解できる。
そこで、彼はどうやらこれ以上朝飛と優心を巻き込むのはいけないと理解したらしい。
しかし、ふたりは関わり続ける気マンマンである。
朝飛は元々の性格が善良だし、優心もこの悪趣味なストーキングにより彼のなかの悪人許すまじの精神が勃起しているし。
ではいっそう、美穂を守らせることに重点を置かせて、その外で自分は怪異と戦うことにしよう、と計画を立てる。
「新沼、きみ今日はこの家にお泊りすることって可能だな」
「は? ダメだろ。男がさ」
「加賀美は無理だろうが、新沼はちょっと整えれば女性でも通じる容姿をしているでないか」
彼は朝飛の髪を撫でてみながら、美穂に「ほら」と言う。
「あのさ〜……!」
「いけないだろうか」
「ダメなんだって。アホか。ご両親にどう説明すればいいんだよ」
「だから、君は可愛らしいから、女性で通じる」
「声は……!? 思いっきり男じゃねぇか!!」
頭の中で『いい案がある』という声が響く。
「いい案があるらしい」
「あぁ?」
『君の中に宿っている神性を新沼朝飛くんに込めるんだ。多少無理が生じるだろうが、この際どうでもいいとして、女の子にはできるはずだ』
『身体が女性になるということか?』
『ああそうだ。どうだろうか』
『その生じる無理によるが』
『せいぜい転換癖がつくくらいだ』
『なるほど。しかし、それは彼の人生を変えかねない。もし彼が男性的な物を無くしてしまったら私は責任を取らなくてはならなくなる』
『その時は嫁にもらえばいい』
『ひとの人生をなんだと思っているんだ、貴方は』
「いい案って?」
少し下から睨みつけられながら、「やっぱり無しで頼む」と言う。
「どうしよう……」
「お前は何を迷ってんだよ」
「君たちをいかに怪奇に関わらせないか、と考えているんだ」
「あぁ……?」
「佐々木さん、私は彼らと少し我々の話をしてくるが、何かあれば大声を出してくれ」
ふたりに愛星友の話をした。
「で?」
「その組織を知ったのは本当についさっきだが、俺はそれらと戦いたいと瞬間的に考えた」
「バーサーカーみてぇに言うな」
「要するに、『人を守りたい』ってことだろ」
「ああ。そうだ。その為の力はもう持っている」
「さっきの光る奴か」
「ああ。俺はビカットマンなんだ」
「ビカットマン……? なんだそれ」
「正義のヒーローなんだ。誰よりも強くて、かっこういい。ヒーローなんだ。俺はそのビカットマンになったということだ」
『たまたまそれになれたから姿かたちを真似しただけだけれどもね』
「で、今回もその愛星友っていうれんじゅうと戦うかもしれないから、何の力も持たない俺たちは隠れておいたほうがいい──と?」
「不躾な言い方をすると、そうなる」
「こればかりは仕方ねぇけど……」
「俺は元野球部だから肩とか強いよ」
優心が言う。
「じゃあ君、人を殴れるかい?」
「お前は殴れんの?」
「こいつかなり容赦なく殴るぞ」
「こわ……」
「じゃあこの世では何が正解なのか」
『あるいは、戦えるようになるかもしれない』
『なに?』
『光輝くんを攫った男が怪異を召喚したことがあったろう。あれは霊術と言い、細かく言えば「召喚霊術」というものになる。彼らも霊術を使えるようになれば戦力になるかもしれない』
『使えるようになるのか?』
『簡単な召喚霊術なら可能だろうね』
『教えてほしい』
『身体を貸してね。厳しくやるから』
『了解した』
「ンン」
「ん?」
声のトーンが変わった。
「ではひとつ、此処は僕から君たちに思いつく限りの戦闘力を備えよう。ついてきなさい」
「……なんだ……?」




