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その日の放課後のうちにファミリーレストランにあつまった四人。
後輩女子・佐々木美穂と、アホと朝飛と優心。
美穂は優心を少し警戒しつつ、事情を話し始めた。
「心当たりはあるんです。たぶん、中学のころの同級生で……あまり会話したことはないんですけど、なんというかその……少し変わった人なんです」
「加賀美みたいに?」
「俺を指さすなよ。しばき殺すぞ」
「こわいな君」
「あっ……あーっ……まぁ、なんというか、加賀美先輩をもう少し理屈通じない感じのアレで……」
「じゃあやべぇじゃん。警察だろ」
「いままでなにか危害は加えられたかい?」
「はい。写真も撮ってあるんです」
美穂はカバンから封筒を出した。
写真を現像しておられる。
写真屋怖かったろうなと同情してしまえるような写真ばかりで、玄関前に猫の死骸を置かれたり……部屋の窓の外、電柱の影から見つめていたり、と多岐にわたる。
「これマジでやべぇ奴じゃん。アホじゃなくて警察だろ」
「でも、その……警察に通報したんですけど……あまり真面目に対応してくれなくて……」
「なんで〜? 事件性大アリだろ」
「兄が浪人時代に警察に千回以上のイタズラ電話をしたこともあり……たぶん、今回もそうなのだろう、という……」
「えぇ……」
「しかし、佐々木くん。私が思うに、この写真が大いなる証拠ではないかな。これを警察に見せればいくらクソみたいな兄を持っていても、警戒を強化して頻繁に巡回してくれたりするのではないか」
「一応、本当に一応、パトロールの頻度は増やしてもらって……」
もう見せたのだそうだ。
「でも、止まなくて……」
「君に対する嫌がらせが、かい?」
「はい」
「なるほど」
彼は写真を何度も見返して、ふと電柱の裏から白い何かがはみ出している事に気がついた。
「佐々木くん。今日我々で君の家に行ってもいいか?」
「いいですけど、何故です?」
「少し気になってね」
四人は伴って美穂の家に向かった。
「あれが私の部屋です」
と、美穂が指を差した窓から距離を見て、あの電柱だろうというのわかると、電柱の裏側を見た。
地面の近くに、「お札」が貼られている。
頭のなかで、「呪いだ」という声がした。
その声いわく、この札は一枚ではあまり意味のあるものではなく、おそらくだが家の何処かにも同じものが複数枚貼られているかもしれない──という事らしい。
「なるほど、どうやら君のストーカーはオカルトだとかスピリチュアルにも手を出しているらしい。これと同じものが貼られているかもしれないので、見つけ出してほしい」
「よし来た。俺探し物は得意なんだ」
ボイラーと家の外壁の隙間に一枚、物置小屋の段ボール箱の下に一枚、庇の上に一枚。
「おそらくこれで全部かな」
「これ、なんなんですか」
頭の中の声に語りかける。
『これはいったい?』
『これは憎き愛星友の作り出した人畜監視用の札だね。魂を観測するんだ』
『愛星友?』
『新沼朝飛を誘拐したれんじゅうがいたろう』
『なるほど、やつらか』
「君を見ている、という事らしい。捨ててしまって構わない」
「い、一応霊媒師に見て貰ったりとか……」
『霊媒師は信用してならないよ』
『何故?』
『ほんとうに霊力のある人間は霊媒師なんぞでなく、祓い屋になっているからね。お祓いに妙な儀式ぶった事をするのはいんちき者の証明だから、頼るのはダメだ』
『ではどうすればよろしいか』
『君は霊力を持っているから、君が祓えば良い。ぼくと一体になっているので、君は光になれるはずだ』
『ビカットマンか』
『そうだ、ビカットマンだ』
「いや、私が祓うよ」
「おはらい、できるんですか?」
「生憎と」
一度変身したことがある。
その頃の感覚を思い出し、体を世界に溶け込ませるようなイメージ。
すると、指先に光の粒が集まり始めたので、それを中指で弾く。
札は燃えた。
「これでもう見られる心配はないだろう」
『しかし、愛星友の札を持っているということは、彼女をつけ狙う男が愛星友に属しているかその二世ということになる。怪奇との戦いになるよ、ビカットマン。気をつけてね』




