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エルデーン世界記録集 ― Chronicle of Eldern

密やかなる文の記憶 第1巻 花と針~書き残した言葉、書き消した言葉~

最新エピソード掲載日:2026/11/02
花の便り。刺繍の図案。夫や姑への小さな愚痴。
それは、嫁いだ友どうしの、ありふれた手紙のはずだった。

サルメア学府の書庫に、二百年あまり眠っていた焼け残りの文箱。
文学者イネス・ラ・ヴァルデがその中に見つけたのは、「つぐみ」と「ひわ」と呼び合う二人の女性の書簡だった。

かつて同じ女学寮で学び、それぞれの家へ嫁いだ二人。
庭の様子を明るく綴るつぐみと、暮らしの出来事を短く書き留めるひわ。
茶会の誘い、子の成長、袖に刺した葉の数――二十年にわたる便りには、離れて暮らす二人の歳月が重ねられている。

けれど、書いてから消された一言に、読む手が止まることがある。

焦げて欠けた紙。送られたかどうかも分からない下書き。
編者はそれらを並べ直すが、言葉の奥に何があるのかは語らない。

架空世界エルデーンに残された文献を通して、人々の暮らしと胸の内をたどる書簡集。
最後の一通を読んだあと、最初の便りは、どのように響くだろうか。
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