↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜鳴き蕎麦徒然草子  作者: いわん
第三部:文化六年、江戸日本橋。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/47

第三十回:変わらぬ味

冬。江戸は日本橋。夜半の橋の袂に、一台の「夜鳴き蕎麦屋」に灯りが付いていた。

提灯に書かれている屋号は「清吉」。暖簾には「二八」と書いてあった。


文化六年も終わる頃。

一年を通して来た常連が言う。

「今年も世の中はいろいろあったな」

店主は答えた。

「そうでしたかね」

店主はいつも通りに蕎麦を茹でた。

出し汁の香りがあたりに漂う。

八丁堀が言う。

「……お前さんは変わらねぇな」

店主はぶっきらぼうに答えた。

「あっしは、ただの蕎麦屋ですから」

店主は八丁堀にかけ蕎麦を出した。

「変わらないのが、あっしには一番でさぁね」

「……そいつは、そうだな」

八丁堀はかけ蕎麦を啜った。

いつも通りの出汁の香りが、八丁堀の鼻腔をくすぐった。


今日最後の客が、蕎麦を食べ終え、暖簾をくぐった。

「ご馳走さん」

「また、ご贔屓に」

店主はいつも通りに答えた。


いつも通り、いつも通りの風景だった。


夜風に吹かれて、屋台の風鈴がチリリンと鳴った。


文化六年が暮れようとしていた。


<了>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。