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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十八章 シャロンとランス降伏/戴冠式

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188/199

18.10 ジャンヌの指輪、修道女コレットの模倣

 ランスで過ごした5〜6日の間、乙女ジャンヌ・ラ・ピュセルは頻繁に町の人々の前に現れた。


 貧しい人たちや身分の低い人たちが、ジャンヌのもとにやって来た。

 善良な妻たちはジャンヌの手を取り、自分の指輪をジャンヌの指輪に触れさせた。[1527]


 ジャンヌは真鍮の一種で、時にエレクトラムと呼ばれる小さな指輪をはめていた。[1528] エレクトラムは「貧乏人の金」と言われていた。


(⚠️エレクトラム(Electrum):金と銀の天然合金のことだが、一般的には金の純度が低くて「金」と呼べないような代物を指す。古代から貨幣鋳造に利用されてきた。その色合いから「琥珀金」と訳されることもある)




 石の代わりに、ジャンヌの指輪には「ジーザス・マリア(Jhesus Maria)」という言葉と3つの十字架が刻まれた台座がついていた。


 ジャンヌはしばしば敬虔な眼差しでこの指輪を見つめた。

 なぜなら、聖カタリナがそれに触れたことがあったからだ。[1529]


 当時、「聖人が現れて実在する指輪に触れた」という話は、まったく信じられない与太話ではなかった。


 16年前の1413年に、修道女コレットが処女の貞潔を誓った際に、王の中の王(神、キリスト)と霊的な結婚をした証として、聖母マリアの使徒が降臨して立派な金の指輪を受け取ったという話がすでに広まっていたからだ。


 修道女コレットは、自分の修道会の修道女と修道士にこの指輪に触れることを許し、遠方の地に使者を派遣するときは、道中の危険から身を守るためにこの指輪を託した。[1530]


(⚠️コレット・ド・コルビー(Colette de Corbie):シャルル七世やブルゴーニュ公とも面識があり、宗教的・政治的な対立を超えて支持された著名な修道女)




 ジャンヌは、自分の指輪にも偉大な力があると信じていた。

 だが、病人を癒すために、指輪の力を使ったことは一度もなかった。[1531]


 病人を治癒する奇跡までいかなくても、ジャンヌのような聖人には、聖職者や時には魔術師に依頼するような、ささいな奉仕をすることが期待されていた。


 例えば、戴冠式の前に、貴族や騎士たちはしきたりに従って手袋を与えられていた。そのうちの一人が手袋をなくしてしまい、ジャンヌに紛失物を見つけてくれるよう依頼した。他の人たちも、彼のために手袋を探してほしいと頼んだ。


 しかし、ジャンヌは手袋を見つける約束をしなかった。

 はじめから取り合わなかったにもかかわらず、この話は知れ渡ってしまい、人々はジャンヌの振る舞いについてさまざまな解釈をして、口々に言い(はや)した。[1532]



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