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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十八章 シャロンとランス降伏/戴冠式

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187/199

18.9 戴冠式当日(4)ジャンヌの父が課税免除を要求

 ジャンヌの父ジャック・ダルクは、娘が熱心に尽力した戴冠式を見るためにランスへ来た。

 彼は、パルヴィ通りにある、ローラン・モローの未亡人アリックスが経営する宿屋「縞模様のロバ」に滞在した。娘だけでなく、息子のピエールにも再会した。[1521]


 ジャンヌが「ラッソワ叔父さん」と呼び、ヴォークルールの総督ロベール・ド・ボードリクール卿に会いに行ったときに同行したいとこ(親戚)も、戴冠式に来ていた。彼は国王に話しかけ、ジャンヌについて知っていることをすべて話した。[1522]


 他にも、ランスの町でジャンヌは、ドンレミ村から7マイルほど離れたヴァルヴィル村の銅細工師で、若い同郷人のユソン・ル・メストルに会った。ジャンヌは彼を知らなかったが、彼はジャンヌの話を聞いたことがあり、(ジャンヌの父か兄)ジャックと弟ピエールのことをよく知っていた。[1523]


 ジャック・ダルクは、故郷の村では有力者の一人で、おそらく最も優れた実業家でもあった。[1524]


 ランスまで来たのは、娘が男装して馬に乗って町の通りを練り歩くのを見物するためだけではなかった。彼は間違いなく、自分自身のために、そして村を代表して、国王に課税免除を要求するために来たのだ。


 乙女ジャンヌ・ラ・ピュセルによって、国王に提出されたこの嘆願は認められた。


 その月(7月)の31日、国王は「グルー村およびドンレミ村の住民は、人頭税、貢租税、補助金、助成金すべての課税から免除されるべきである」と布告した。[1525]


 町の行政官は公費からジャック・ダルクの滞在費を支払い、ランスを出発するときには、故郷まで連れて帰る馬を贈った。[1526]




------------(⚠️訳者の覚書)------------

①フランス王国時代の税制4種について、

②ジャンヌの父がやったことについて、

少々わかりづらいので補足。


▼Tailles:タイユ。人頭税。王国の一部が敵に占拠されたり被害を受けるなど緊急事態の際に、王がその権限に基づいて徴収する。

▼Aides:エイド。貢租税。対象地域の領主の合意に基づいて徴収する。海・川・山など地域特性に合わせた公共設備を整備するために使われる。

▼Subsidies:特定の商品の価格を維持するための補助金。財源はガベル税。

▼Subventions:特定の活動を支援するための助成金。財源はシャルジュ税。


上記の税金4種のうち、後者2つはガベルとシャルジュだと思われる。

原文では補助金・助成金の名称になっているが、文脈的に「補助金の財源」徴税を免除する話をしているので。


▼Gabelle:ガベル。間接税。よく塩税と訳されるが毛織物やワインも対象。

▼Charge:シャルジュ。賦課税。収入に関係なく貧しい人も納付する基礎的な税。


ようするに、ジャック・ダルクは、娘ジャンヌの活躍と戴冠式の祝賀(王が断りにくい状況)を利用して、一家と故郷の村全体の課税4種を全額免除してもらう特権をもぎ取った…という話です。なお、この特権はフランス革命で王政が廃止されるまで360年続きました。


一般的に、ジャンヌ・ダルクとその家族といえば「学のない貧しい農民」の印象が強いですが、おそらく「田舎の狡猾な実力者ボス」のほうが実像に近い。


だって、活躍した本人と家族どころか、出身地と隣村の税金全部免除させることを画策(家族だけだと妬まれそうですからね)して、娘にそれを要求させる父親なんてエグすぎる。相当図太くないとできない。

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