表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十八章 シャロンとランス降伏/戴冠式

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

185/199

18.7 戴冠式当日(2)参列したジャンヌの動向

 古めかしい言い方で「神秘劇(mystery)」と呼ばれた儀式の間じゅう[1510]、乙女ジャンヌ・ラ・ピュセルは王のそばを離れなかった。[1510]


 以前、シャンドスの古い軍旗を退却させたあの白い軍旗を広げてしばらく掲げていたが、その後は、ジャンヌから片時も離れなかった者たち、小姓のルイ・ド・クートや、シャロンを経てランスまでついてきたリシャール修道士が、代わる代わるジャンヌの軍旗を持った。[1511]


(⚠️シャンドスの軍旗(standard of Chandos):過去80年間、イングランド軍が勝利したときに翻った軍旗。オルレアン包囲戦ではグラスデールが掲げていた。詳しくは、第十三章「13.7 レ・トゥーレル奪還(2)総攻撃」を参照)


▼13.7 レ・トゥーレル奪還(2)総攻撃

https://kakuyomu.jp/works/16817330649585060746/episodes/16818792437090822111




 ジャンヌは最近見た夢の中で、シャルル王に王冠を授けていた。

 そのため、この日のジャンヌは、夢で見た王冠が天からの使者によって教会に運ばれてくるのを待っていた。[1512]


 通常、聖人たちは、天使の手から王冠を受け取るのではなかったか?


 聖セシリアには、天使がバラとユリの花輪で飾られた王冠を授けた。

 聖カタリナには、天使が不滅の王冠を授け、カタリナはそれをローマ皇后の頭上に置いた。


 しかし、ジャンヌが待ち望んでいた、奇妙なほど豪華で壮麗な王冠は、最後まで出てこなかった。[1513]


 ランスの大司教は、聖堂参事会(聖職者)が用意したさほど価値のない王冠を祭壇から取り上げると、両手で王の頭上に掲げた。王の周りに円を描くように並んだ12人の貴族たちは、腕を伸ばして王冠を支えた。


 ラッパが鳴り響き、人々は「ノエル!(万歳)」と叫んだ。[1514]


 かくして、フランス王シャルル七世は、偉大なるトロイア王国の気高きプリアモス王の血脈を受け継ぐ子孫として、油を注がれて戴冠した。


(⚠️プリアモス王(Priam):ギリシャ神話に登場するトロイア王国最後の王。プリアモスはトロイア戦争で殺され、王国は滅亡するが、英雄アエネアスと結婚した王女とトロイア人の生き残りがイタリア半島に逃れてローマを建国。古代ローマの始祖となり、ローマ帝国滅亡後はヨーロッパ各地の建国神話で始祖とされた。フランス王家の場合、歴史上の祖先は初代国王クロヴィスだが、神話上のルーツはトロイア王家と英雄にさかのぼると主張していた)



**


 正午から二時間後(午後2時)、「《《神秘劇》》」は終わりを迎えた。[1515]

 その時、ジャンヌはシャルル王の前にひざまずき、泣きながらこう言ったと伝わっている。


「美しい王よ、今ここに、神の望みは達成されました。私がオルレアンの包囲を解いたのも、あなたをこのランスの町まで連れてきて、聖なる塗油式を受けさせて、あなたが真の王であり、フランス王国が帰属すべき御方であることを明らかにしたのも、すべては神の意志でした」[1516]




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ