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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十八章 シャロンとランス降伏/戴冠式

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18.6 戴冠式当日(1)聖油を注ぎ王位を継ぐ伝統の由来

 王は油を塗られて聖別された。

 なぜなら、油は名声、栄光、知恵を意味するからだ。


 戴冠式当日の朝、ジル・ド・レ卿、ブサック元帥、グラヴィル卿、キュラン提督は、王から派遣されて聖油瓶(Holy Ampulla)を取りに行った。[1501]


 それは水晶の小瓶で、サン・レミ聖堂の修道院長が、修道院教会の主祭壇の後ろに安置された聖レミの墓の中に保管していた。この小瓶に、聖レミがクロヴィス王に塗った聖なる香油が入っている。


 (小瓶は)鳩の形をした聖遺物箱に収められていた。最初のキリスト教徒の王(クロヴィス王)に塗る聖油とともに、鳩の姿をした聖霊が降りてきた伝説にちなんでいる。[1502]


 実際、古い書物には、(鳩ではなく)天使が奇跡の聖油瓶を持って天から降りてきたと書かれている[1503]のだが、人々はそのような矛盾を気に留めず、キリスト教徒の間では、聖なる香油に奇跡の力があることを疑う者は一人もいなかった。


 例えば、「聖油は使っても減ることなく、小瓶は常に満たされている」が、これはフランス王国が永遠に栄える予兆と誓約の証拠だといわれてきた。


 先王シャルル六世の戴冠式を実際に見た人の証言によれば、聖油を使ったあとも小瓶の中身は減っていなかったという。[1504]



 午前9時、シャルル・ド・ヴァロワ(シャルル七世)が多数の従者を連れて教会(ノートルダム大聖堂)に入った。


 フランス王の紋章官は、王国の貴族12人を名指しで呼び出し、主祭壇の前に来るよう命じたが、12人のうち、世俗貴族6人は誰も応じなかった。

 そこで、彼らの代理を、アランソン公爵、クレルモン伯爵、ヴァンドーム伯爵、ラヴァル卿、ラ・トレモイユ卿、マイエ卿が務めた。


 残る聖職貴族6人のうち、3人が紋章官の呼び出しに応じて参列した。ランス大司教(公爵)、シャロン司教(伯爵)、ラオン司教(公爵)の3人だ。

 ランジュル司教とノワイヨン司教が欠席したため、シーズ司教とオルレアン司教が代理を務めた。


 なお、フランス大元帥アルテュール・ド・ブルターニュ(リッシュモン伯爵)は不在だったため、代わりにシャルル・ダルブレ卿が剣を掲げた。[1505]


(⚠️イエス・キリストの十二使徒にあやかり、フランス王の戴冠式(聖別式・塗油式)では12人の重臣が儀式に参列する)



 祭壇の前に、胸と肩がひらいたローブを身につけたシャルル・ド・ヴァロワがいた。


 王はまず、第一に教会の安寧と特権を維持すること、第二に国民を強要/搾取から守り、過度に重荷を負わせない(ようするに重税を課さない)こと、第三に正義と慈悲をもって統治することを誓った。[1506]


 次に、親族のアランソン公から騎士の武具を授かった(騎士叙勲を受けた)。[1507]


 それから大司教は、王に聖油を塗った。

 聖霊は、この聖油を通して、司祭、王、預言者、殉教者を作り出すのだ。


 こうして、この新しいサムエルは新しいサウルを聖別し、すべての権力は神に由来すること、そしてダビデの例に倣って、王は祭司であり、神の奉仕者であり、神の証人であることを明らかにした。


(⚠️サムエル(Samuel):旧約聖書『サムエル記』に登場する預言者。イスラエルの民が王を求めたので、サムエルは神の指示でふさわしい人物を探し、サウルに油を塗ってイスラエル王国初の王が誕生する。しかし、サウル王は敵を絶滅することを拒んだために神に見放され、サムエルはひそかにダビデに油を塗る)



 イスラエルの王たちの時代から続いてきた、この聖油を注ぐ伝統は、シャルルマーニュの時代から、いや、クロヴィス王の時代から「もっともキリスト教的な王(フランス王の別称)」たちを燃え盛り輝く光とした。


 実際に、クロヴィス王が聖レミの手から受けたのは、聖油注ぎではなく洗礼と堅信礼だった。だが、シャルル王は、聖なる司教によって「キリスト教徒の王」として、神自身が過去の君主と未来の後継者に送ったのと同じ聖油を注がれた。[1508]


 こうして、シャルル・ド・ヴァロワは、権力と勝利の象徴である油注ぎを受けた。


 サムエル記にはこう記されている。[1509]


「サムエルは油の入った小瓶を取り、

 サウルの頭に注ぎ、彼に口づけして言った。

『主(神)はあなたに油を注ぎ、その民の指導者とされた。

 あなたは主(神)の民を治め、周囲の敵の手から

 民を救わなければならない』」


(旧約聖書『サムエル記上』10章1節)




(⚠️原著では、預言者サムエルの発言部分にラテン語が併記されているため、ラテン語からの訳出も載せておきます)


ラテン語と訳文:

Ecce unxit te Dominus super hereditatem suam in principem,

et liberabis populum suum de manibus inimicorum ejus, qui in circuitu ejus sunt.


見よ、主はあなたをその相続地の君主として油を注がれた。

あなたはその民を周囲の敵の手から救うであろう。



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