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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十八章 シャロンとランス降伏/戴冠式

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182/199

18.4 ランスの町(3)雄弁は銀、沈黙は金

 当時、ランス市の司令官(Commander)だったシャティヨン卿は、二人の副官(Lieutenants)ジャン・コーションとトマ・ド・バゾッシュとともに、シャトー・ティエリーに駐留していた。二人とも騎士だった。


 ランス市民は、彼にシャルル王の手紙を見せるのが賢明だと考えた。


 代官(Bailie)のギヨーム・オディエルヌは、隊長領主(Lord Captain)でもある彼のところへ行き、手紙を見せた。


 代官は、ランス市民の感情を非常に忠実に表現した。

 シャティヨン卿に救援に来るよう頼んだが、彼が来れないような頼み方をした。


 これこそが、最も重要な点だった。


 なぜなら、救援を要請しなければ、市民は反逆罪で告発されるかもしれず、かといって、本当に救援が来たら、市民は悲惨で危険な包囲戦に耐えなければならない。どちらにしても市民は危険にさらされる。


 この目的のために、代官は「ランス市民は隊長と連絡を取りたいと思っており、《《騎兵50騎まで》》なら受け入れる用意がある」と宣言した。


 ここで市民は善意を示した。


 ランスの町は「城壁内に軍隊を入れることを拒否する権利」を持っていた。

 特権があるにもかかわらず、ランス市民は騎兵50騎、つまり戦闘員200人という条件付きで受け入れることに同意した。


(⚠️補足:シャルル七世が率いる遠征軍の規模は3万人)


 予想通り、シャティヨン卿は「その程度の人数では、自分自身の安全さえ確保できない」と判断した。


 彼は、救援に出向く条件として、(1)町が食料を供給し、防衛態勢を整えること、(2)戦闘員300~400人を連れて入城すること、(3)城だけでなく町の防衛もすべて任せること、(4)町の有力者5~6人を人質として引き渡すことを要求した。


 これらの条件を満たせば、シャティヨン卿は「ランス市民のために生死を共にする覚悟を決める」と宣言した。[1486]


 実際に、シャティヨン卿は部隊を率いて町のすぐ近くまで進軍し、市民に救援に来たことを知らせた。[1487]


 イングランド軍はあらゆる場所で兵士を募集し、あらゆる種類の人々を軍務に就かせていた。聖職者にまで武装させた。摂政(ベッドフォード公)は実際に、ウィンチェスター枢機卿がフス戦争に参戦する予定でフランスに上陸させた十字軍の兵士を、(フランス軍と戦うための)兵役に駆り立てていた。[1488]


 そして、ヘンリー王の評議会(イングランド側)は、集めた軍勢の進軍状況についてランス市民に知らせることを忘れなかった。


 7月3日には、イングランド軍が海を渡っていると伝えた。

 7月10日には、ヴェルマンドワの代官であるコラール・ド・マイイが「軍隊が上陸した」と発表した。


 しかし、これらの知らせは、シャンパーニュ地方の人々にイングランド軍を信頼させるほどの力がなかった。


 シャティヨン卿が「(包囲戦に耐えれば)40日以内に海の向こうから大軍が到着する」と約束していた頃、シャルル王は兵士3万人を率いてランスの城門までわずか数マイルのところに来ていた。


 シャティヨン卿は、以前から疑っていたとおり、自分はランス市民に欺かれたと悟った。市民は、要請した援軍を町に入れることを拒否したのだ。

 彼に残された道は、引き返してイングランド軍に合流することだけだった。[1489]


 7月12日、ランス市民は、ランス大司教で公爵のルニョー・ド・シャルトル卿から、国王の来訪に備えるよう求める手紙を受け取った。[1490]


 その日、町で評議会が開かれ、書記官は審議の経過について公式報告書を作成した。


「……シャティヨン卿に、彼が司令官であり、領主たちと大衆が……であることを伝えたあと……」[1491]


 それ以上何も書かれていなかった。


 シャルル王の戴冠式の準備をしながら、イングランドへの忠誠を主張するのは無理がある。強制されたわけでもないのに、新しい君主を承認するのは賢明ではない。そう気づいた市民は、突然、雄弁という「銀」を放棄し、沈黙という「金」に逃げ込んだ。



(⚠️雄弁は銀、沈黙は金(Speech is silver, Silence is golden):英語の慣用句。ようするに、ヘンリー六世からシャルル七世へ主君を乗り換えることは、どう言い訳しても筋が通らない。不義理・無分別な裏切り行為だと気づいたので、ランス市民は急に口をつぐんでしまった。経過報告をまとめた公文書もうやむやで歯切れが悪い)



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