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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十八章 シャロンとランス降伏/戴冠式

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181/199

18.3 ランスの町(2)シャルル七世の手紙(文末で「尊厳/君主の複数」について補足)

 フランス軍がまだトロワの城壁の前にいたころ、ランスの門前に伝令が現れた。国王が7月4日の月曜日にブリニョン=ラルシュヴェック(ブリニョン大司教の宿舎)滞在中に書いた手紙を託されていた。


 この手紙は、すぐに町の評議会に届けられた。


「あなたがたはすでにご存知だろう」


 手紙の中で、シャルル七世はランス市民に語りかけている。


「ランスの善良な民よ、あなたがたはすでに、

 神が私たちに与えてくださった、

 古くからの敵であるイングランドに対する

 勝利と成功の知らせを聞いているだろう。


 それは、オルレアン市の前で、

 その後はジャルジョー、ボージャンシー、

 ムン=シュル=ロワールで起こり、

 それぞれの場所で敵は甚大な損害を受けた。


 彼らの指導者および、その他4000人もの人々が

 殺されるか、あるいは捕虜になった。

 これらは、人智の力というよりも

 神の恩寵によって起こったのである。


 そこで私たちは、

 血統貴族と王室評議会の助言に従い、

 聖油を塗り(聖別し)、王冠を戴くために

 ランスに向かっている。


 したがって、あなたがたは、

 私たちに負っている忠誠と服従に基づき、

 歴代国王におこなってきたことと同じように

 私たちを慣例通りに迎え入れる準備をするように」[1483]


 そしてシャルル王は、トロワ市民に示したのと同じく、賢明で寛大な態度をランス市民にも示し、完全な赦免と忘却を約束した。


「過去の出来事や、私たちがそれを思い出すかもしれないという恐れに惑わされてはならない。現在のあなたがたが、私たちに対して当然の義務を尽くすならば、善良で忠実な臣民にふさわしい扱いをすることを保証する」


 王はさらに、自分と交渉するために町の有力者を派遣するよう要請した。


「私たちの意図をもっと詳しく知るために、

 ランス市民の何人かが、派遣した伝令とともに

 来てくれるなら、私たちは大いに喜ぶだろう。

 あなたがたが安全に来れることを保証する。

 あなたがたが良いと思う人数で構わない」[1484]


 王の手紙が届けられると、評議会が招集されたが、審議に必要な人数が足りなかったため決議できず、評議会メンバーは深刻な困惑から解放された。


 そこで、一般市民が市内のさまざまな地区に集められた。

 こうして市民から聞いた意見を取りまとめて、次のような狡猾な宣言文を作り上げた。


「私たち市民は、評議会および有力者たちと

 生死を共にするつもりです。彼らの助言に従います。

 ランスの司令官と副官による助言と命令がない限り、

 私たちは不平を言わず、(シャルル七世に)返事も出さず、

 協力して平和的に行動します」[1485]




------------(⚠️訳者の覚書)------------

王の一人称「尊厳/君主の複数」について補足:

英語でRoyal we、仏語ではNous de majestéという、君主特有の言葉遣い。

君主が自分自身を指して用いる複数代名詞で、「我々/私たち」となっているが王個人を指している。国家と個人が一体化している君主ならではの一人称。


一般人が自我を抑えて謙虚さを示すために用いる「私たち」と、君主の威厳を示す「私たち」を区別する必要がある……と辞書などに注意書きされているが、日本人にはなかなか理解しにくい。


一般的になじみがない言葉だが、現在も外交文書で使われている。

例えば、君主が君主に宛てた手紙では単数形の一人称(私)を用いるが、大統領や首相に宛てた書簡では君主の複数(我々/私たち)を用いる。

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