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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十七章 オセールとの休戦協定/修道士リシャール/トロワ降伏

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17.14 トロワ包囲戦(3)降伏するための方便

 修道士リシャールは、乙女ジャンヌ・ラ・ピュセルを探しに行った。

 見つけるや否や、まだ距離があるうちから、リシャールはジャンヌの前にひざまずいた。ジャンヌもリシャールを見つけると、同じように彼の前でひざまずき、二人は互いに深々と頭を下げて礼を交わした。


 この善良な修道士は、町に戻ると人々に長々と説教し、シャルル王に従うようにと勧めた。


「神は王の前に道を用意しておられます」と彼は言った。


「王に付き従い、聖別式(塗油式)へと導くために、神は聖なる乙女を遣わされた。私は固く信じている。福音者ヨハネを除き、彼女は天国にいるどの聖人よりも、神の神秘を体現する力を持っていることを」[1457]


 善良な修道士は、少なくとも一人の聖人を、ジャンヌよりも上位の存在として認めざるを得なかった。それは、聖人たちの中の第一人者であり、イエスの胸に頭を預けた使徒であり、時が満ちる(時代が終わる)ときに再び地上に戻る預言者である。


(⚠️福音者ヨハネ(Saint John the Evangelist):十二使徒の一人で、キリストにもっとも近い愛弟子。新約聖書『ヨハネによる福音書』の著者。洗礼者ヨハネと区別するために「使徒ヨハネ、福音記者ヨハネ」と呼ばれる。伝統的に「使徒ヨハネ」と「福音記者ヨハネ」は同一人物とされてきたが、近現代の聖書学では別人説が有力)



「もし彼女がそうしようと望むなら」


 リシャール修道士はさらに続けた。


「彼女は城壁を越えて、あるいは彼女が望む他の方法で、王の兵士全員を町に連れてくることもできただろう。彼女は他にも多くのことができる」


 町の人々は、雄弁に語るこの善良な修道士に、大きな信頼と自信を寄せていた。


 リシャールが乙女について語った内容は、市民にとって素晴らしいことに思えた。そして、それほど強力な存在に付き添われた国王への服従を勝ち得る一因となった。彼らは皆、声を揃えて高らかに叫んだ。


「フランス国王シャルル万歳!」[1458]



 さて、こうなったからには、トロワに駐留する代官(Bailie)と交渉して話をつける必要が出てきた。

 代官は、町から陣営へ、陣営から町へと市民が行き来することを黙認していたので、近寄りがたい人物というわけではなかった。彼と協力して、駐屯軍を撤退させるために誠実な手段(方便)を考え出さなければならない。


 このような目的を秘めて、司教に先導された大勢の庶民が、代官と隊長2人のもとへ行き、「町の安全を確保してほしい」と申し入れた。[1459]


 しかし、彼らはこの要求に応えることができなかった。なぜなら、市民の意思に反して都市を守り、3万人ものフランス軍を追い払うことは、彼ら(駐留する守備隊)の戦力では到底不可能だったからである。


 市民たちが予想した通り、代官はこの事態に大いに困惑した。

 代官の狼狽ぶりを見て、町の評議員たちはこう言った。


「もしあなたが、公共の利益のために結んだ約束(誓い)を守れないなら、私たちはあなたの意思に関係なく、シャルル王の軍隊を町へ迎え入れます」


 代官と隊長2人は、自分たちの主君であるイングランド王とブルゴーニュ公を裏切ることを拒否したが、町から立ち退くことに同意した。


 それこそが、トロワ市民が求めていたことの全てだった。[1460]


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