17.10 往復書簡(1)ジャンヌ→トロワ市民、トロワ市民→ランス市民
ジャンヌは、トロワの市民と住民に宛てて手紙を口述した。
その中で、ジャンヌは自らを「天国の王のしもべ」と称し、神自身に代わって、穏やかでありながらも切迫した言葉で「フランス王シャルルに従うように」と彼らに呼びかけた。
そして、彼らが望もうと望むまいと、ジャンヌは国王とともに聖なる王国のすべての町に入り、平和をもたらすと警告した。その手紙は以下の通りである。[1423]
「ジーザス † マリア
良き友であり、愛する皆さん、
トロワの町の領主、市民、住民の皆さん、
もしよければ、聞きなさい。
ジャンヌ・ラ・ピュセルは、
彼女の主君であり忠誠を誓うべきお方、
彼女が日々お仕えしている、
天国の王のしもべとして、
皆さんに呼びかけ、知らせます。
美しいフランス王に、真の服従と忠誠を誓いなさい。
誰が彼に抵抗しようとも、
彼はジーザス(イエス)の助けを得て、
まもなく手綱を取り、ランスとパリに、
そして聖なる王国の良き町々に入るでしょう。
忠実なフランス人の皆さん、
シャルル王のもとに身を寄せなさい、
決して見捨てないで(失望させないで)ください。
もし来るなら、
皆さんの肉体や財産を
心配する必要はありません。
もし来ないなら、
皆さんが命をかけて抵抗しようとも、
私たちは神の助けを得て、
聖なる王国のすべての町に入り、
そこで平和を確立すると、私は断言します。
私は、皆さんを神にゆだねます。
神の意志がそこにあるならば、皆さんを守って下さるでしょう。
すぐに返事をください。
トロワの町の手前、サン・ファルにて、
7月4日火曜日に記す」[1424]
裏面には「トロワの町の領主と市民へ」と書かれている。
乙女はこの手紙をリシャール修道士に渡し、彼はそれを町の人々に届けることを約束した。[1425]
*
フランス軍はサン=ファルを発ち、ローマ街道に沿ってトロワに向けて進んだ。[1426]
軍隊の接近を聞きつけた町の評議会は、7月5日火曜日の早朝に集まり、ランスの住民に宛てて手紙を送った。内容は以下の通りだ。
「本日、ヘンリー王とブルゴーニュ公の敵が
我々を包囲するために来ると予想される。
敵の目的について考察し、
我々の取るべき大義を思い出し、
我々の君主たちが約束した援助について検討した結果、
我々は、敵の力がいかに強大であろうと、
ヘンリー王とブルゴーニュ公への忠誠を貫き、
たとえ死に至ろうとも継続することを決意した。
さらに、我々はこの決意を、
イエス・キリストの尊い御体にかけて誓った。
つきましては、我々はランス市民の皆さんに、
同胞として、忠実な友人として、我々のことを思いやり、
摂政ベッドフォード公とブルゴーニュ公に、
この哀れな臣民を憐れみ、
救援に来てくれるよう嘆願していただきたく、
切実にお願い申し上げる」[1427]
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(⚠️訳者の覚書)第十三章は、シャルル七世の懐柔策によってトロワ市民が心変わりしていく過程、別名「華麗な手のひら返し」が見どころです。すでに上記の手紙の時点で、強気な泣き言がだだ漏れているのがおもしろい。




