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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十七章 オセールとの休戦協定/修道士リシャール/トロワ降伏

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172/199

17.9 修道士リシャール(4)世界が終わる前に

 善良な修道士リシャールが十字を切って聖水を振りかけているのを見たとき、ジャンヌは、彼が自分を何か邪悪なもの、つまり「邪悪な霊によって作られた幻影」か、少なくとも「魔女」だと考えていることに気づいた。[1416]


 しかし、ジャンヌは、ジャン・フルニエの悪魔祓いのときに感じたほどには腹を立てなかった。あのときは、告解していた顔見知りの司祭が、ジャンヌを善良なキリスト教徒であるかどうかを疑ったことが許せなかった。[1417]


(⚠️ジャン・フルニエの悪魔祓い:ヴォークルールにいたころ、司祭ジャン・フルニエがジャンヌを悪魔祓いしようと試みた。第三章「3.9 悪魔祓いの試練を受ける」参照。

https://kakuyomu.jp/works/16817330649585060746/episodes/16817330649598181761)



 しかし、リシャール修道士はジャンヌを知らず、一度も会ったことがなかった。


 それに、ジャンヌは、このような扱いを受けることに慣れ始めていた。

 リッシュモン大元帥、イヴ・ミルボー修道士、そしてジャンヌのところに来たその他の多くの人々は、彼女が神からの使者なのか悪魔からの使者なのかを尋ねた。[1418]


 ジャンヌは少し皮肉な口調ではあったが、怒る気配も見せずに、説教者にこう言った。


「大胆に近づいてください。私は逃げません」[1419]


 リシャール修道士は、聖水の試練と十字の印によって、乙女ジャンヌ・ラ・ピュセルは悪魔ではなく、彼女の中にも悪魔はいないことを証明した。

 そして、彼女が「神から遣わされた」と言ったとき、リシャールは心からジャンヌを信じ、神の天使だと思い込んだ。[1420]


 リシャールは、自分が来た理由を打ち明けた。[1421]

 トロワの住民は、ジャンヌが神からの使者であるかどうかを怪しんでいた。

 その疑念を解消するために、彼はサン=ファルまで来たのだった。


 今やリシャールは、ジャンヌが神からの使者であると知ったが、特に驚かなかった。


 なぜなら彼は、以前から「1430年にこれまで見たこともないような大きな奇跡が起こる」ことを知っており、いつか預言者エリヤが人々と歩き、語り合うのを目撃するだろうと信じていたからだ。[1422]


 この瞬間から、修道士リシャールは乙女と王太子の支持者になった。


 彼がジャンヌに惹かれたのは、フランス王国の再建について予言したからではなかった。リシャールは「世界の終わりが迫っている」と信じていたため、狂人王の息子(シャルル七世)が王家の遺産を再び取り戻すことに関心がなかった。


 しかし、「イエス・キリストの王国が、この百合の王国フランスに確立されるなら、預言者ジャンヌとイエス・キリストの世俗的な代理人であるシャルル王が、世界中のキリスト教徒を率いて《《聖なる墓》》を救い出す」だろうと期待した。


(⚠️キリスト教徒を率いて聖なる墓を救い出す:エルサレム奪還のこと)



 それは、世界の終わりが来る前に、果たしておかなければならない尊い仕事に違いなかった。


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