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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十七章 オセールとの休戦協定/修道士リシャール/トロワ降伏

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17.8 修道士リシャール(3)禁じられた演説

⚠️前回「17.7 修道士リシャール(1)救世主と反キリスト」と「17.4 トロワの町(2)ベッドフォード公の叙任権闘争」を修正しました。


トロワ司教の叙任権をめぐり、ベッドフォード公が「Abomination of desolation」と呼ばれた件、聖書の有名なフレーズだったので訳語と補足を修正。聖書の内容を知らないと、ベッドフォード公がどれほど強い言葉で非難され警戒されたかいまいち伝わらないので。


⚠️「荒廃をもたらす忌まわしいもの」解説:旧約聖書『ダニエル書』第11章31節、預言者ダニエルが最後に見た幻のこと。傲慢な異国の王が「荒廃をもたらす忌まわしいもの」を立てた後、世界は終わるとされる。ダニエル書以降も終末論で頻出する、いわば黙示録の原点といえる。

キリスト教圏のWikipediaはこのフレーズ単独で項目が作られるほど重要で、日本語の訳語「呪われたもの、忌むべきもの」は本来の意味よりだいぶ軽い印象。

・英語:Abomination of desolation ・仏語:Abomination de la désolation

————————————




 また、善良な修道士リシャールは、多くの人が家に保管していたマンドレイクの根を同じように焼却させた。[1408]


 この根は、奇妙で悪魔のような外観をした醜い小人の形をしていることがある。おそらくそのためか、特別な効能があると考えられていた。「小人」は上質なリネンやシルクの服を着せられ、幸運をもたらし、富を授けると信じられていた。


 魔女たちは、マンドレイクの根を大切に保存していた。

 だから、乙女ジャンヌ・ラ・ピュセルを魔女だと信じた人々は、彼女がマンドレイクを持っていると非難した。


 リシャール修道士は、これらの「魔法の根」が富を引き寄せる力を持っていると信じて、なおさら強く憎んだ。富はすべての悪の根源だったからだ。


 彼の言葉は再び聞き入れられ、パリ市民たちは恐怖に駆られて、多額の金銭と引き換えに「良識を超えた知識を持つ老女」から手に入れたマンドレイクを捨てた。[1409]


 リシャール修道士は、パリ市民に、これらの邪悪な宝物の代わりに、より啓発的なもの、すなわちイエスの名前が刻まれたピューター製(スズ合金)のメダイを置くようにすすめた。リシャールは、イエスの名を崇拝することに特にこだわっていた。[1410])


 町で10回、ブローニュの村で1回説教した後、この善良な修道士は「ブルゴーニュへ帰る」と言い、パリの人々に別れを告げた。


「私は皆さんのために祈ります。皆さんも私のために祈ってください。アーメン」


 それを聞くと、身分の高いものも低いものも、すべての人が最愛の友を墓地へ送るかのように大声で号泣した。リシャールも彼らと一緒に泣き、出発を少し延期することに同意した。[1411]


 5月1日の日曜日、彼は信心深いパリ市民のために、最後の説教をすることになっていた。


 信者たちの集いの場として、かの聖ドニが殉教した地、モンマルトルの丘が選ばれた。


 不幸な時代、この丘は誰も住んでいなかった。

 だが、その日の前夜には、良い場所を確保しようと6000人以上の人々が丘に押し寄せ、そこで一夜を明かした。何人かは荒れ果てた廃墟で過ごしたが、ほとんどの人は星空の下に横たわって野宿した。


 朝になってもリシャール修道士は現れなかった。

 集まった聴衆はむなしく待ち続けた。失望と悲しみに暮れる中、人々は修道士が説教を禁じられたことを知った。[1412]


 説教の中で、修道士リシャールはイングランドを怒らせるようなことは何も言わなかった。説教を聞いたパリ市民は、彼が摂政(ベッドフォード公)やブルゴーニュ公の良き友人であると信じていた。


 おそらくリシャールは、パリ大学の神学者たちが自分を処罰しようとしていると聞いて、逃亡したのだろう。彼が主張する「世界の終わり」に関する見解は、確かに特異で、危険なものだった。[1413]


 その後、リシャール修道士はオセールへ向かい、そこからブルゴーニュとシャンパーニュを説教してまわった。


 彼が内心ではシャルル王の味方だったとしても、それを表に出すことはなかった。少なくとも6月時点では、シャンパーニュの人々、特にシャロンの住民は、リシャールを「ブルゴーニュ公に仕えている立派な人物」と思っていた。[1414]


 そして、前述したとおり、7月4日時点のリシャールは「乙女ジャンヌは悪魔か、悪魔に取り憑かれた人間」だと疑っていたことがわかっている。[1415]


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