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教皇庁に禁書指定されたジャンヌ・ダルク伝  作者: しんの(C.Clarté)
上巻・第十七章 オセールとの休戦協定/修道士リシャール/トロワ降伏

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17.6 修道士リシャール(1)終末思想

 乙女ジャンヌ・ラ・ピュセルは軍の一部隊とともに、サン・ファルの城砦の前で立ち止まった。この城は、ブルゴーニュ公に仕えるトネールの町の総督フィリベール・ド・ヴォードレが所有していた。[1394]


 サン・ファルの地で、ジャンヌはフランシスコ会の修道士が近づいてくるのを見た。その修道士は、十字を切って聖水を振りかけた。ジャンヌが悪魔ではないかと恐れ、まず悪霊を祓わなければ近づく勇気がなかったのである。


 トロワからやって来たリシャール修道士だった。[1395]

 この修道士が一体何者だったのかを、わかる範囲で見ていくのは興味深いだろう。



(⚠️トネール(Tonnerre):オセールの東35キロ地点にある町。トネールの北65キロ先にトロワ、北西70キロ先にサンス、南東125キロ先にブルゴーニュ公領の首府ディジョンがある)


(⚠️サン・ファル(Saint-Phal):オセールの西北西30キロにある村と城砦。北東24キロ先にトロワがある。村に水源が8カ所もあり、周辺地域に水を供給している。小さな村とはいえ水資源を管理する重要な拠点で、立派な城砦があったが19世紀前半に解体された)





 リシャールの出身地は不明だ。[1396]

 ヴィンセント・フェリエ修道士とシエナのベルナルディーノ修道士の弟子で、師と同様に、アンチ・キリスト(反キリスト)の到来が差し迫っていること、そしてイエスの聖なる御名を崇拝することで信者が救われることを説いた。[1397]


 エルサレムを巡礼してからフランスに戻り、1428年の待降節(Advent)の期間中にトロワの町で説教していた。


 待降節は「聖マルティンの四旬節」とも呼ばれ、11月27日から12月3日までの間の日曜日から始まり4週間続く。期間中、キリスト教徒はイエス・キリスト降誕クリスマスの神秘を祝う準備をする。


「種を蒔きなさい、善良な人々よ」


 修道士リシャールは言った。


「収穫に備えて豆を蒔きなさい。来るべき『彼』はすぐに来られるからです」[1398]


 リシャールが言う「豆」とは、神が雲に乗ってやってきて、生者と死者を裁く前に、人がやるべき善行を意味する。収穫の時が近づいていたので、今こそ、善行(豆)を急いで蒔くことが重要だった。


 アンチ・キリストの到来は、世界の終わりと時代の完成のほんの少し前に起こるはずだった。


 1429年4月、リシャール修道士はパリに向かった。

 ちょうど、サンス管区の教会会議が終盤を迎えていたころだ。


 この善良な修道士リシャールは、会議に出席していたトロワ司教に招かれたのかもしれない。いずれにせよ、放浪する修道士がパリへ向かったのは、ガリア教会の権利を擁護するためではなかったようだ。[1399]


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