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宇宙開発、あるいは銃殺刑 ~JAXA職員は1951年の宇宙開発で無双する?~  作者: 北雪篇


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第四話 少佐

兵士の殆どが銃身を下げた後、少佐は、俺の職員証を軍服のポケットへ突っ込んだ。


「ちょっ、それ俺の……」


「お前ら。今回の件は何もなかった。いいな。これ以上の追及は命令に背いたことになる」


「サー、イエッサー」


兵士たちは一斉に返事をする。その中で、曹長だけがこぶしから血がにじみ出るほど固く握りしめていた。




「ミスター天羽といったか?さっきは、うちの部下が無礼なことをしてすまなかった」


少佐は、深く頭を下げ、謝罪してきた。その顔には謝罪だけではない何かほかの感情があるように見えた。


「君の安全はこの私が保証する。少し、ついてきてほしい場所がある。来てくれないか?」


「情報部に行けば、お前はおそらく解剖される。だから、身分がいる」


冗談だと思いたかった。吐き気を催す。俺は、ロケットの構造計算ならできる。だが、腹を割られたことはない。


いや、一回あった。そのときは、検死官ではなく、医師にしてもらったが。


「どこにいくんです?」


これで、いきなり銃殺刑ですとか言われても困る。


最低限の保証は取っておかないと。


「私のセーフティーハウスだ。安心しろ、軍部からはまあ、遠い。捜査機関の息もしばらくはかからないだろう。」


少佐は、不敵な笑みを浮かべて、俺を更衣室へと案内してきた。


「ここで、一応軍服に着替えてくれ。あっ、あと階級は何がいい?少尉から大尉まで        だ。少佐以上は俺のメンツが立たなくなる」


「一番給料高いのって……」


「もちろん大尉だ」


「じゃあ大尉で」


俺は、金の話になると目がなくなる。基本的に使う機会がないのでたまっていく一方だが。


「月給は、たしか三六〇ドル程度だったな」


「そんなものか」


少佐の顔には、あきらめの文字しか映っていなかった。


「大尉は高給取りだぞ」


「そうなんですか?」


「ああ、それも相当な」


「自分も年収七〇〇万くらいもらっていたので……」


少佐が額を抑えてため息をついた。


「通貨は?」


「あっ、円だ」


「で。何ドルなんだ?」


「わからないです」


少佐は、呆れたような顔をしていた。


「それと、私の名前を伝えるのを忘れていたな」


「私の名前は、マイケル・チェン」


マイケル、か。どうも聞きなれた名前だ。


「それと、これ」


マイケルは、見慣れない手帳を渡してきた。


「なんだ?この手帳」


「軍人手帳だ。東洋人の家系でな。妙に親族が多くてな。軍にも役所にもいる」


俺は、何者だ……。

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