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パドマの箱庭  作者: 菌床
四章:あの花情恋意をもう一度
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66:五歳児の指針


 とどのつまり、私が思い出した『記憶』とやらは『十二歳の冬に我が一家が襲撃される』というものだが、『記憶』は既に現在との差異が発生していた。


それが五歳の時に水難事故で帰らぬ人となった「ギレムお兄様」の存在だ。

私の『記憶』の中には、穏やかで知的に微笑む、ギランお兄様と同じ髪色だが藍玉の瞳をした「ギレムお兄様」が確かに居て、彼もまた燃える邸の中に残されたままだったと覚えている。


急に電池が切れたおもちゃのように黙り込んだ私を、家族が不審を通り越して心配をしてくれているのは痛いほど分かったが当惑の余りに空元気も装えなかった。


しかし今更口を開けば、では何があった、ギレムお兄様から新たな警告でもあったのかと、根掘り葉掘り聞かれてしまうのは目に見えたので、仕方なしに萎れた様子を続けてなんとか邸に戻る事には成功したものの、さてどうしたものかと一人ベッドの上で頭を捻る。

正確にはベッドの上で一人と一匹であった。


様子の可笑しい私を心配してか、ギランお兄様はレムを私に同行させた。

お兄様や両親は、まだ終わっていない先日の夜会の片付けに追われている。

故にゆっくりと一人で思考を纏める時間が取れるのは有難いが、情けなくも全くひらめきが落ちて来ず、ぐるぐると考えは堂々巡りだ。


「どう思う、レム兄様?」

「くぅぅん?わふ」

「うんうん、意味が分からないよねぇ」

「フゥン」


いくらレム兄様でも分からなくて当然である。

私は未だ恐ろしくて、紐解かれた『記憶』の仔細を口に出してはいない。


(『記憶』の中ではギレムお兄様が生きていた代わりにレムが居ない。

 それって、所謂辻褄合わせというか、強制力的なものなのだろうか?)


前世で今の素敵家族が出てくる物語を読んだ覚えはないが、万が一この世界が物語の中であったとしよう。

登場人物「リーシャ」には二人の兄が居る設定とする。

だが実際は不慮の事故、いや、不可思議な神の力の結果として私達の『ギレムお兄様』は喪われた。

そこで新たに宛がわれたのが人ではなく犬のお兄様だ。

名前も、奇しくもギレムお兄様から頂戴しているし、私にとっては正しく「もう一人(一匹)のお兄様」と呼べるほどの愛しくて大事な存在である。


(ならやっぱり、私が十二歳の冬に一家には悲劇が起きるという事?)


既に『記憶』と差異があったとしても、状況を整理すると未来の可能性が消える訳では無いと言える。

私としては寧ろ消えて欲しかった。

ギレムお兄様を奪っただけでは飽き足らず、神々は未だ女神ロテュスに捧げる物語を続ける事を御所望らしい。

何とも身勝手な神様達である。


(とりあえず、私が黙りこくった理由は起きる時期が分かったからにしよう)


加え、思い返せば私の視界はやたら高かった。

十二歳の少女の視点には到底思えない。

それこそ馬車の中、いや、馬上から見たような高さだ。


五歳児なので馬車はまだしも、馬単体に乗った事は無い。

この辺りは前世の記憶から推測するものではあるが、強ち間違っていないだろう。


(邸を視認した視界の高さを話せば、賢い家族だ、何か察するだろう)


兎に角、ギレムお兄様が生きていた世界線が存在した話は聞かせられない。

そんなのどんな拷問よりも彼等を苛める話題だ。


(世界線、そう、『記憶』と異なる今になってしまった理由は何?)


それこそ神様の戯れなのだろうか。

常人には出来ぬ摩訶不思議な力を以て。


(――――…『逆巻きの聖者』!!)


ハッと私は息を呑み、枕元に運び直してもらった本を見やる。

慌ててそれを引き寄せて申し訳無いが乱雑に当該の話まで頁を捲った。


エタンが面白おかしく話してくれたから印象に残っていたのが助かった。

他の話だったら正直昨日の今日で話の内容など忘れていただろう。

それくらい私には聖女適性は無い。


(…やっぱり聖者が過去に遡って苦難や苦境が無い未来が訪れている)


『逆巻きの聖者』は、女神ロテュスに深く愛された愛し子の物語だ。

彼は旅の先々で災害に見舞われ苦しむ人々や、大きな損失を出し傾いてしまった商家、果ては魔物に浚われた姫を救うため、四度に渡って過去へと戻っていた。


都度彼が時を遡って人々を救うが、彼等はそんな聖者へ感謝はしない。

それはそうだ、改めて流れた時の中で誰一人として絶望や苦難に苛まされていないのだから。

ましてや彼が力を尽くしてくれたからこそ救われた今である事すら知らない。


聖者は肉体年齢がそのままで過去に戻っていた。

十歳で見舞われた災害の原因が二年前にあったとすれば、十歳のまま二年前の世界に時を逆巻きして彼だけが戻る。

そして戻った先から、未来の起点まで早送りで進む事も出来ない。

つまり彼だけが本来の時間よりも老いて『今』を迎える事となるのだ。


この辺りは考え出すと未知なのだが、遡った先の聖者は何処にいくのだろうか。


十歳のままで二年前に戻ったとしてそこには八歳の聖者がいた筈だ。

前世的な考えがあると、こうして在るべき場所から弾き出された人間が異世界を冒険する物語でもありそうだと妄想はしてしまうが今はそんな事はどうでも良い。

少なくともそこに関しては、私が今読んでいる本では言及されていない。

あとエタンが魔王と名乗っていたのはただの魔物だった。

通りで小者感が凄い訳だ。


話を戻すが、つまりこの異世界では過去改変をしたとされる聖者が存在した。

正直、前世持ち以前に五歳児の私から見ても随分な眉唾物だと思う話だが、そういう考えや可能性が起き得る世界でもあるとまずは仮定する。


(…もしかしてギレムお兄様は本当に力の強い、それこそ聖者みたいな人だった?

 だから御力を使って、悲劇を起きる前まで戻そうとしていたとしたら)


逆巻きの聖者で考えれば、恐らく十九歳前後のギレムお兄様がこの世に存在する。

いや、計算が違うか。

今の世界でギレムお兄様が亡くなったのは七年前だ。

それが逆行により当時の世界から彼が弾き出される一つの形だとしたら。


つまり今、二十六歳のギレムお兄様が存在し得るというのか。


(だとしたらこの物語の主人公はどう考えたって『ギレムお兄様』、か)


私は何でか知らんが、恐らく妹特権でもあるのかその一端に触れたのだろう。

もしこの推測が正しいのであれば一家を襲う悲劇の原因は私が生まれる前。

お兄様達が五歳の時なのだろう。


(七年前かぁ…私は生まれて居ないし何があったとか調べないとなぁ。

 ん?七年前?七年…七歳…クロヴィス殿下って、七歳じゃ…)


おい待て、そういう事なのか。

我が家の悲劇の切欠は王家、それこそクロヴィス殿下案件なのか?!

止めろ!!止めてくれ!!私が一番年齢近いとか、私だけが悲劇を『記憶』に持つとか、そもそも悲劇を「見た」という事は悲劇から生存しているという訳であってだな?!!


何だよ!『記憶』は愛され妹の特権じゃないのか??!

私がただ関係者だからこそ、見せられた内容なのか?!!


(これは…これは…まずいぞ、私、王子殿下の婚約者にでもなるのか…?)


確かに王子殿下にとって私との出会いのインパクトはこれ以上に無い程のものだ。

何たって挨拶したらギャン泣きされたんだからな。

大抵の物語の王子様は女の子達の憧れであり、前世のなまはげのような扱いをされる存在では決してないのだ。


そもそもクロヴィス殿下は名の知れた知的で明るい王子殿下だ。

王宮内での評価も高く、茶会でも大人気という美しく麗しい御人である。

確かに、彼が歩けば我が家の見慣れた廊下も花道の如しだった。

存在感が格別であったからこそ、私もすぐに王子殿下だと分かり低頭したのだ。


(でもクロヴィス殿下は既に賢君の兆しも見えると噂される程、賢い筈。

 こんな田舎の伯爵令嬢に引っ掛かるような考え無しじゃないだろう)


今の陛下は恋愛結婚だが、その点を揶揄して暗君とも囁かれているのだ。

反面教師を身近に持つ王子殿下がわざわざ貴賤結婚などを選択する事は無い。

寧ろ避けるものだろう、そうであれ。


(ああー…ギレムお兄様、ギレムお兄様が此処に居れば…!!

 何がどうしてそうなったのかを、きっと事細かに、分かりやすく私に教えてくれるだろうに!)


私の中の『記憶』に在るギレムお兄様はただ只管に優しく微笑んでいて、愛おしさが爆発する程に大好きな気持ちを抱くばかりだが、あの佇まいは絶対に知的な御人だと思うのだよ。

ギランお兄様は今と変わらないが、もうちょっとやんちゃっぽい表情だった。

双子で担当分けるとかあれかな、アイドルかな?良いよねシンメ。好き。


ダメだ、すぐ気が緩んで意識が脱線する。

でも双子アイドルなお兄様達とかめっちゃ見たい、妹にもファンサして。


(兎に角もう一度考えを整理しなきゃ…夜にはまた皆に話さなきゃだし)


一喜一憂どころか大驚失色しぐったりとした私を他所に、レムは見事なワンモナイト姿でお昼寝をしていた。

可愛いである、私も添い寝したい。


まぁ女も度胸だ、出たとこ勝負で行くとしよう。

少なくとも話さない内容はギレムお兄様関連の事だけだ。

というかもう考え疲れてしまった。

なんたって私は五歳児である。

まだまだお昼寝が欠かせない幼児なのだ。


緊張の糸が緩み、早々に訪れた眠気に抗う事なくレムと一緒に寝た。

直前まであれこれ考えていたからだろうか。

夢の中で私はレムと一緒に大人のギレムお兄様を探す旅に出ていた。

この世界で一人きりになってしまった家族を迎えに行くのだ。

ギレムお兄様が来た未来まで一緒に生きて行くのだ!と一人心を弾ませた私の足取りは何処までも軽いものだった。



 その日の夜、忘れずに私は家族のお茶会室で紐解いた『記憶』について話した。

連日重苦しい話ばかりをして大変申し訳ないとは思う。

だが私一人では乗り越えられない問題だから、是非助けて欲しいと切に願うのだ。


「リーシャが十二歳…七年後、か」

「…今年は、ギレムを喪って七年目です」

「我が家とって何か、苦境の節目なのだろうか…」


三人が揃って沈痛な面持ちになる。

前世では七という数は縁起の良い数字だったのにな、異世界だと違うのだろうか。

それともただの偶然か。


「でも起き得る時期が分かった点は、事件を回避するための手掛りでしょう」

「そうだな…それに、リーシャの視界の話もだな」

「お前だけ攫われたのか、救い出されたのか」


救出はまだしも攫われるってなんだ。

私は姫か。

だからそんな役回りを担える柄では無いのだが。


「これからリーシャに縁がある人物にも注意を払わねばなりませんね」

「先日の夜会の子供部屋で接触した他家の子供は覚えてるか?」

「全員ですねぇ」

「…お前、凄いな」


お父様は社交が苦手ですからね。

私の社交性はお母様譲りなのでしょう!

そもそも、折角の機会なのだから皆が仲良くなれるように前世の大人的配慮をしただけであって、特別親しくなれる程の時間を過ごせた訳じゃない。

誰も彼もとは接触したものの、一人当たりに掛けた時間は少ない。


「印象的な子どもとかは居たか?」

「双子の天使がいらっしゃいましたねぇ」

「ああ…ヴュルテンベルク辺境伯家の御子様方ね」


私と一緒に子供部屋で応対をしていたお母様も思い出した様子で深く頷く。

あの双子は別格の美しさだった。

シャルトル―ズ色の髪とベゴニア色の瞳をしたアロイーズ様と、ジョンブリアン色の髪と勿忘草色の瞳をしたオリアーヌ様。


『記憶』の中にあるギランお兄様とギレムお兄様は髪色が同じだが、ヴュルテンベルク辺境伯家の双子は性別も違えば、多少髪色も与える印象が違うものだ。

恐らくお兄様達が一卵性で、貴家は二卵性なのだろうな。

面立ちがどちゃくそに良いのだけは本当にそっくりな可愛い双子ではあるが。


余所行きの御召し物も大変お似合いで愛らしかった。

前世の宗教画に出てくる天使が紛れ込んだかと本気で思ったわ。

注視しないように意識するのが大変だった。

私の中に成人女性の記憶が無ければ、他の子供同様にガン視してたよ。

あれは誠に目と心の保養で御座いました。


しかし誠に残念ながら、御二人とは全員で回した自己紹介以外でお言葉を交わす機会が無かった。

自己紹介が終わった後の休憩中に、私が途中退席したからだ。

あの後は無事にエタン達が、いやお兄様の従僕達が頑張って取り成して何とか問題も起きずに終えられたそうだが、準備していたゲームを実施する事も、景品をお渡しする事も叶わなかったと聞いている。

非常に残念である。

領民達の腕の素晴らしさの喧伝にもなったのになぁ。

なおその一部は謝罪と共に店舗で販売するようにお願いしてある。

だってあんなに素敵な景品の数々、ウチで保管しておくのは勿体ない。


「でもそう考えると私の交遊関係は十歳を迎えるまで広がらないのでは?」

「今回の歓待も、王家の方々が避暑にいらっしゃったから開いただけだしな」

「王家の方々はストラス領に別荘など構える予定でしょうか」

「構えたいという申請は頂いていないな」

「であれば、子供部屋を開く機会もそう多く無いかと」

「それを期待したいところだな」


この世界では社交界に顔を出せるのは十歳を迎えてからだ。

なので今回、十二歳のギランお兄様は夜会服に身を包んでいた訳である。


ならばそれ以下の子どもはどうしているのかと言えば、自宅で待機か、若しくは我が邸で開かれたような子ども達だけで集まる専用の場が設けられるのだ。

と言っても、此処にも参加するにあたって年齢制限がある。

それが丁度五歳なのだ。

この国の貴族は基本、五歳までは子どもを他家に連れて行く事は稀だ。

まぁ親類や特別仲の良い家などがその稀に含まれるのだからお察しである。


私の親類はお母様の実家くらいしかない。

確か数年前にご挨拶を一度しただけで、以降は顔を見ていない。

前世から考えると疎遠なのかと疑ってしまうのだが、結婚した後、特に嫁入りした娘の遠方の実家なんかそんなものらしい。

他家に入る、という印象が強いのだろう。


加えて社交が苦手なお父様だ。

近隣領や領地に避暑へ来た貴族方々とは程よく付き合いをしているものの、家族ぐるみの付き合いをする程の仲では無い。

だから私の遊び相手は専らレムとギランお兄様、護衛や侍女などの使用人となる。

お隣に遊びに行くのに馬車で数時間掛かるなんてそんな規模の話だ。

または避暑シーズンの期間限定の友人が出来るか否かであろう。

しかしギランお兄様にそういう縁がない事を考えると、其方の可能性も低い。


人に溢れ、気軽に同年代と接する機会に恵まれた前世持ちとしては大変寂しい気もするのだが、田舎の領地の貴族なんてどこもそんなものらしい。

お父様がそんな言葉を連発するので、ちょっと疑わしいが。

子どもの情操教育には同年代は大事ですよお父様。


まぁ別に現状に不満は無いので構わないのだが。

何たって、大好きでかっこよくて優しくて素敵なギランお兄様と可愛くて賢いレム兄様を私が占有できるのだ。

フハハ私本当この家に転生出来て良かった!環境が良すぎる!!


「因みに私の婚約者についてのお考えは?

 先に伝えておきますが、私の理想の夫婦像はお父様とお母様です」


つまり恋愛結婚を所望する、と強かに述べる愛娘にお父様が相好を崩す。


「リーシャやギランが幸せになれるように力を尽くすのが親だ、安心しろ」

「ふふっ、私達の愛しい貴女達ならきっと素敵な恋をするのでしょうね」

「ふふふふっ!ですってよ!ラン兄様!」

「五歳児でも女は女だなぁ」

「愛や恋に年齢も性別も関係御座いませんことよ?」


これまた小賢しい事を言えば、片眉を上げてニヒルな笑いをお兄様が浮かべる。

何そのカッコいい顔、好き!似合う!やだーー!お兄様がモテちゃう!当然か!!


「あと四年後にはギランも王都の学院に通うしな」

「楽しみです」

「そうね、準備も引き続き頑張っていきましょうね」

「はい…」


お母様のお小言にちょっとギランお兄様が照れくさそうに笑う。

大好きな剣術だけじゃなくてお勉強も頑張るとギレムお兄様の前で誓ったのだから、きっと明日からは頑張る御姿が見れる事となるだろう。

今日は忙しくて良かったですねと揶揄うように笑う私の頭を、温かいお兄様の手がぐりぐりと強めの力で撫で回す。


「話を戻すが、リーシャの周辺にも引き続き目を向ける事が肝要だな」

「私も今年は少し多めに夏の社交に出向きましょう」


おや、お母様が外に出向かれるという事は淑女教育もお休みかな。

そんな浮ついた気持ちを、しっかり者のお母様は見逃さなかった。


「私が不在であってもリーシャもしっかり勉強するのですよ。

 ギランも目標を持って取り組むのですから、貴女も何か決めましょうか」

「お母様のような素敵な淑女を目指します」


任せろ!志は常に高くだ!

即答する私に、お父様もギランお兄様も声を上げて笑う。


「そりゃリーシャ、遊ぶ時間が無くなる目標だな!」

「お母様は魔法も凄いんだぞ?そっちもやるのか?」

「勿論ですとも!まずは神学の本を眠らずに読破します!」

「そこからか!」


腹を抱えて笑うギランお兄様を見ていると私まで幸せな気持ちになる。

うんうん、霊廟ではちょっと言い過ぎた気もしていたけど相変わらず愛してくれているようで嬉しいです。

大好きですよギランお兄様。


「ワンッ!」

「大丈夫よレム、お庭で遊ぶのは止めないわ」

「くく…木登りは卒業か?」

「まだ五歳児なので一つずつしか出来ませーん」

「此処で年齢を盾にするのか」


遊んでもらえなくなるのかと不満気に一吠えするレムを撫で宥める私に、未だ笑うギランお兄様がそっと身体を預けてくる。

愛おしい重み、温かな身体。


「そうだな、急に大人にならなくていい」

「ギランお兄様も私を置いて大人にならないで下さいね」

「善処はする」


それは置いていくと同義だ。

そんな事をさせない為にも、これはお兄様が勉強の休憩時間の度、遊びに誘わなければならないなと私は強く思った。

でもきっとそんな目論見をお母様が窘めるのだろう。

お父様は、今みたいに私達のやり取りを笑って見ているだけだ。


こうして私達の団欒はいつも通りに賑やかに過ぎていく。

いついつまでも、続いて欲しい時間である。



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