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第70話『暗い世界』
空っぽの人生で絶望したから、死のうとした。
冬花として過ごす意味のなさに絶望した。
紫夏を誰も知らない世界に絶望した。
生きれば生きるほどに、あの時自分の選択が正解だったのか分からなくなる。
残された意味が分からなくなる。
今後も残されて生き続けることが無理になった。
だから、生きる理由が無いし死のうとした。
なのに、お兄ちゃんは――
『靴ひもを結んだ意味が無いだろ!』
……そんなの理由にはならない。
なのに、何で私はもがいてしまうのだろう?
何故、この青い手は助けを求めてしまうのだろう?
こんな真夜中の川に飛び込んでいまさら助かるわけもないのに……
(……お兄ちゃん)
――何で、お兄ちゃんの顏が……見えるんだろう?
「冬花!」
川に落ちる男の人の影を見ながら、わたしは意識を失った――




