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第64話『匂いと臭い』



「クンクン! クンクン!」

「……モモカ、どうしたの?」



 家に帰ると、首に白いマフラーを巻いた彼女のモモカが僕の臭いをしきりに嗅いできた。



「サトルくんから女の臭いがします……」

「え、もしかして、匂いで浮気?」



 まるで、飼い主が猫カフェに浮気したのを察知した飼い猫みたいだな。

 僕はそう言うと、彼女が少しムッとした表情をして答えた。



「いいえ、死にそうな女の子の臭いです」

「なにそれ……」



 死にそうな女の子とは何だろう……死臭が僕の体から漂っているってことなのか?

 もはや、それは暴言ではないのだろうか?


 そんなことを思っていると、彼女が身を乗り出して僕に質問をして来た。



「むしろ……何でサトルくんは浮気だと思ったんですか?」

「ニャーッ!」



 何故か、おもクロ丸までも僕が浮気をしたかのように詰め寄って来ている。



「それは……」



 これは……ヤバイ!


 ついさっきまで、ボクっ子?(冬花さん?)と会っていた所為で余計なボロが口から出てしまった。



「浮気の心当たりがあるってことじゃないんですか!?」

「そそそ、そんなのないって!!」



 この後、僕は首に巻いた白いマフラーを振り回すモモカに浮気の件でたっぷり搾り取られた。




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