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第60話『二人の役者』



 二人の姉妹は生まれた時から、両親の教育に不満はなかった。



 姉は立派な舞台役者になるために毎日毎朝毎晩ひたすらに舞台女優になるための稽古に励み。


 妹はそんな姉とは対照的にひたすら自由に育てられた。



 両親には脚本家の父と舞台女優の母として、娘に舞台の道に進んで欲しいという気持ちがあった。だけど、それは両親のエゴでしかなかった。


 または脚本家と舞台女優の娘という世間からの期待もあったのかもしれない。



 だから、両親は片方の娘だけに舞台女優の稽古をつけることにした。



 姉妹はその両親を否定することは無かった。

 何故なら、それが二人の姉妹には当たり前のことだったから……



 姉は両親の夢を継ぐ存在そして、立派な舞台女優になる。

 妹は姉とは違い、自由に友達と遊んだりして『普通の女の子』としての幸せを過ごす。



 ただ、一つ……そんな環境に疑問は持たなくても、小さな不満があった。

 それは――



『わたしも、紫夏みたいに友達と遊びに行ってみたい』

『あたしも、お姉ちゃんみたいに、演技をしてみたい』



 二人の見た目は両親でも見間違うほどに瓜二つだった。



『そうだわ。私が紫夏に演技を教えればいいのよ』

『お姉ちゃん、あたし演技なんてできないよ……』



 だからこそ、そんな考えが浮かんだ。



『紫夏なら、できるわ』

『お姉ちゃん、本当?』



 そして、幸か不幸か両親は気が付かなったけど、妹には才能があった。



『だって、紫夏はわたしの妹なんだから』



 そう姉よりも優秀な『役者』という才能が――





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