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第52話『猫はお好きですか?』



「お邪魔します」



 あの後、僕達は冬花さんから詳しい話を聞くため、冬花さんに僕の部屋に来てもらった。



「どうぞ上がってください」

「なんか、知らない男性のお部屋に上がるのは少し気が引けますね……」


「私もほとんど一緒に暮らしていますから、大丈夫です!」

「それはそれで、僕の印象が大丈夫なのか?」



 すると、部屋に入って来た冬花さんを見て、黒猫のおもクロ丸がひょっこり現れた。

 ……珍しいな。

 普段、来客があってもおもクロ丸はあんまり人前に出てこないのにな。



「ニャーン」

「わぁ! このクロ……ニャンコちゃんかわいいです!」



 しかも、いきなり冬花さんに媚を売って懐いてやがる。


 懐いているのもこいつが誰かに媚を売るのも珍しい。

 もしかして、今日は機嫌がいいのか?



「どれ? おもクロ丸~」

「シャーッ!」



 確認してみようと思って手を出したら威嚇された上に普通に爪で引っかかれた。

 飼い主だというのに、僕は未だに懐かれていないのである。


 おかしいだろ……。



「サトルくんは最初からクロちゃんに懐かれてないですから」

「ご飯をあげてみてはいかがでしょうか?」


「ニャー」



 何故か会場がおもクロ丸のご機嫌取り会場になっているが、今はそんな話をしている場合じゃない。



「二人ともここは猫カフェじゃないんだから、落ち着いてくれ……それよりも、冬花さんの話を聞く方が大事だろう?」



 すると、冬花さんも我を取り戻したかのように「そ、そうですね……」と息払いをして、本題をようやく話し始めた。



「皆さんがお会いしたという『冬花』の正体は私の双子の妹『青井紫夏(しきか)』です」

「でも、妹さんは無くなったって……」

「はい……」



 彼女のモモカがそう聞くと、冬花さんは難しい顔で頷きながら、話しの経緯を教えてくれた。



「確かに、妹の紫夏は去年の実家で起きた火事でなくなりました。しかし、今年に入ってから、この付近の土手の川沿いで私に似た顔の女の子の幽霊が出るという噂を耳にしたのです」


「さ、サトルくん、それって……」

「あぁ……」



 ボクっ子、冬花は『幽霊を探している』と言っていた……

 先に幽霊に出会ったから、本物が幽霊になった。



「その噂を聞いた時、わたしは思いました。多分、妹は今もまださまよっているのだと、だから……」



 つまり、ボクっ子は……当の自分がその幽霊だったということに気付いていない幽霊だということだ。



「わたしは妹の幽霊を探しているんです」





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