第47話『白線遊び』
映画館を出ると地面に水たまりがいくつかできていた。
どうやら、ボクっ子と映画を見ている間に雨でも降ったらしい。
「よっ! とっ! はぁ!」
すると、急にボクっ子が地面を片足でピョンピョンと飛び回り出した。
「何やってんの……?」
「白線遊び?」
なんで疑問形なんだよ……。
「昔、よくやっていたんだ。横断歩道の白い部分だけを渡ったり、雨が降ったら雨水を踏まないように歩く遊び」
「あぁ~子供がよくやる奴か……」
――って、ボクっ子、お前はいくつだよ!
「……悪い?」
青い手袋で拗ねて膨らませた口元を隠しながら、照れるようにボクっ子が言った。
何かあざといな。そのポーズ……
「まぁ、別に、悪くは無いけど……」
……変だとは思う、
とは言ってあげないのが優しさだろう。
「因みに、それって白線以外を踏んだり雨水を踏んだらどうなるんだ?」
「死ぬ」
物騒だな!?
前言撤回! それ全然子供の遊びじゃねぇわ!
「あ……」
「どうした?」
すると、ピョンピョン飛び跳ねていたボクっ子が急に立ち止まったので、見てみると、ボクっ子が履いているスニーカーの靴ひもがほどけていた。
「まぁ、いいや」
しかし、ボクっ子はそれに気づいたにも関わらず白線遊びを続け始めた。
危ないな……。
「靴ひも、結ばないのか?」
「ボクは生きる理由が無いんだ」
生きる理由が無いだって?
いきなりこいつは何を言い出すんだ。
「だから、靴ひもも結ぶ理由がない」
……意味わからん。
「ちょっと、止まれ」
「な、何をするの?」
仕方ないから、僕が結んでやるって言っているんだよ。
そして、僕が目の前にしゃがんで靴ひもを無理やり結んでやると、何故かボクっ子は不服そうな顔をしながらこう言った。
「別に、靴紐なんてボクは気にしないのに……」
「お前が気にならなくても僕が気になるんだよ」
だから、理由なんて、それでいいだろ?




