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第46話『演じる』


 誰かの代わりに、誰かを演じる。



 それが『ボク』の役割だった。

 だけど、私は自分が生きている意味が分からない。


 意味のない代役を生き続ける。それが『わたし』に課せられた生きている理由だ。


 でも、その生きる理由に『わたし』は意味を見出せない。


 それでも、私は『わたし』を演じ続けなければいけなかった。


 演じ続けることは怖い。

 自分が自分を見失う怖さに胸が締め付けられて涙が出そうになる。


 だけど、ボクは泣いたことが無かった。


 だって、幽霊は泣いたりしないから。



 だから、私は『わたし』を演じる為に、幽霊を探している。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「お兄ちゃん、手つないで……」



 映画館を出ると必死ににじみ出そうになる涙をこらえながら、ボクっ子がすがるような声でそう言った。


 差し出している青い手袋の手が震えている。

 どうやら、よっぽどさっきのホラー映画が怖かったらしい。



「ボクは泣けないんじゃなかったのか?」

「う、うるさい……」



 はぁ、仕方ないな……。



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