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第40話『妹を探して』


 翌日、河川敷に行くと野生のボクっ子がいた。


 昨日と同じ青い手袋を両手に着けて膝を抱えて座っていた。



「あ、お兄ちゃん……」

「うそやん」



 どうしよう……会った。会ってしまった。

 ……これってバレたら浮気になるのかな。



「てか、何で昨日と同じ段ボールの中に座っているの?」



 ボクっ子は何故か、河川敷の段ボールの中に座っていたのだ。

 なーんか、昨日と同じ場所に変な段ボールがあるな~と思って、まさかと覗いてみたらコンニチハだよ。


 一体何処のスネー●だお前は……



「うーん、探しもの?」



 何だそれ……



「もしかして、僕を探していたのか……?」



 だとしたら、新手のヤバイストーカーに捕まったのかもしれない!



「お兄ちゃんって……もしかして、ナルシスト?」



 ……うるさいな!


 僕が待ち伏せされるようなイケメンに見えないことくらい僕が一番分かっているよ!



「お兄ちゃんこそ、何で今日もここに来たの?」

「僕も探しものさ……昨日鈴をここら辺に無くしたんだ」

「すず?」

「ああ」



 どうやら、昨日おもクロ丸が脱走した時に、この河川敷あたりでおもクロ丸に付けていた鈴が落ちてしまったみたいなのだ。


 今日の朝になって彼女が……



『クロちゃんの鈴がないですぅーーっ!』



 と、言って叫び出したのだ。


 僕も鈴が無くなっていることには気が付かなかったが『また買えばいいじゃないか?』と言ったら――



『サトルくんはそういうところがダメです!』



「――って、めっちゃ怒られたんだよね……」

「ふーん、ボク何か分かるかも」

「え、何で?」

「だって、お兄ちゃんそういうところに興味なさそうだから」

「心外だ……」



 僕だって、一応は気にしているんだぞ?


 彼女が怒ったのも多分二人で初めてのデートで買ったおもクロ丸の鈴だったと言うのも後から思い変えてみれば……


(そうなのかなぁ~)


 なんて、心当たりが無いこともないわけで……

 だからこうして罰として一人で探しに来たわけなのですよ。


 決して、怒って口も聞いてくれない彼女が怖いというわけでは無い。

 そう、決して……



「手ぶらで帰るのが怖いんだ」

「うるさい」



 彼女はああ見えて怒ると怖いんだよ!

 だって、普段はしてくれるのに、怒ると膝枕でさえしてくれなくなるんだぞ?



「なら、ボクも探してあげようか?」

「いや、別にいいよ……」

「でも、一緒に探した方がいいじゃん? 何で遠慮するの?」

「そ、それは……」



 うーん、確かに一緒に探した方が効率は良いよな。


 だけど、この前もう会ったりしないって彼女と約束しちゃったしな……

 いや、待てよ? 


 でも、これは偶然出会っただけで、別に会おうとして会ったわけじゃないよな?

 それに、僕も浮気をしているつもりは無い。


 ならば、ここで引け目を感じて遠慮してしまう方が浮気なのではないだろうか?


 つまり、これは浮気ではない!



「そう、だよな……うん、そうだよな!」

「お兄ちゃんって、一人で勝手に悩んで自分で解決するタイプだよね」



 結局、おもクロ丸の鈴を探すためにボクっ子にも手伝ってもらうことにした。




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