第37話『ボクっ子と彼女と修羅場』
「また、女の子を拾って来たんですか!?」
猫の予防接種に行ってきたのに、女の子を連れて帰って来た僕に対する彼女の反応はそんな一言だった。
怒りと共に彼女の白いマフラーがうねるように動いている。
彼女は桜井モモカ、いろいろあって僕が拾ってきた女の子だ。
「違うんだ!」
「何が違うんですか!?」
なので、知らない女の子(ボクっ子)を彼女のいる自宅に招き込んだという今の現場は大変にヤバい状況なのだ。
「ニャー」
「おい、ボクの手の中で暴れるなよ……」
ボクっ子に抱かれた黒猫のおもクロ丸も騒いでいるが、僕はいたって無罪だ!
「じゃあ、何で女の子を拾って帰ってきたんですか!?」
「それが、懐いちゃって……」
「ニャー♪」
「女の子が懐いたからって、可愛い彼女がいるのにお持ちかえりしていいんですか!?」
「懐いたのは猫のことだよ!?」
彼女はここで一人暮らしをしている僕の為によく猫の面倒をかわりに見てくれたりと、家に来てくれるのだが……今日はタイミングが悪かった。
おかげで、浮気を疑われてしまっているじゃないか……。
「じゃあ、ボクはお邪魔みたいだから……」
すると、その様子を見ていたボクっ子が猫を置いて帰ろうとした。
「待ってくれ! 僕の無実を晴らしてくれ!」
「えぇ……」
急いで僕が呼び止めると、ボクっ子はとてもいやそうな顔をしながらも渋々と言った様子で僕の弁護をしてくれた。
「彼は無実だよ」
「ほ、ほら! アイツも言っているだろう!? 僕は無実なんだ!」
「むぅ……本当ですか?」
「本当だ!」
「うん、彼の言っているとおりだよ」
すると、ボクっ子はとんでもないことを言い出した。
「だって、ボクから拾って欲しいって頼んだんだから」
「おま――」
コイツ! とんでもなく誤解されるようなことを言いやがった!?
「サトルくん!」
「違うんだぁ!」
必死に僕が弁明しようとする横で、ボクっ子はおもクロ丸を玄関において帰ろうとしていた。
あ! コイツ卑怯だぞ!
そして、帰ろうとするボクっ子を彼女が呼び止めた。
「ま、待ってください!」
「……何?」
面倒くさそうに振り返るボクっ子に彼女は一つだけ質問をした。
「えっと……貴方の名前は?」
「ボクは……青井冬花」
「あおい……とうか……」
すると、そのボクっ子は最後にも、とんでもない爆弾を落として言った。
「じゃあね。拾ってくれてありがとう『お兄ちゃん』♪」
「サトルくん! 拾った女の子に『お兄ちゃん』呼びさせているってどういうことですか!?」
「ち、違うんだぁああああああああああ!」
「ニャー♪」




