第36話『ボクっ子ヒロイン拾いました』
段ボールの中に知らない青い手袋をした女の子が座っていた。
今にも雨が降りそうな曇り空の下。
その女の子が入っている段ボールの足元には見慣れた僕のよく知る黒猫の姿があった。
何でこんな川沿いの段ボールに女の子が捨てられているんだろう?
一瞬、幽霊でも見たのかと思って焦ってしまった。
「えっと……キミはここで何をしているの?」
「ボクは……帰る場所が無いんだ……」
ボクっ子だ。
驚いた……
まさか人生で二度も段ボールの中に捨てられている女の子を見つけることがあるなんて……これは悪い夢なのだろうか?
それもこれも、思い返せば全てのきっかけはこの黒猫だろう。
「ニャー♪」
彼女の青い手袋には僕が探していた黒猫が懐いていた。
懐きすぎて、おもクロ丸がボクっ子の胸元をもみもみしている。
ペッタンコなのに……。
「何を見ているのさ……」
「あ、いや! ちょっとロッククライミングのことを考えていて――」
「ペッタンコで悪かったね!」
失礼、どうやら思っていたことはバレバレのようだ。
「この黒猫はお兄さんの?」
「あぁ、おもクロ丸って言うんだ」
「……酷い名前だね」
失礼なボクっ子だ。
しかし、それより問題なのは――
「シャー!」
こいつが、そのボクっ子から離れないことだろう。
何故かボクっ子の両足の間に隠れているので、手を出したら犯罪になってしまう。
「この猫、本当にお兄さんが飼い主なの?」
「病院の予防接種の帰りだから、警戒しているんだよ……なぁ、おもクロ丸?」
「シャー!」
明らかに、飼い主にはしないであろう威嚇をおもクロ丸がした。
「本当にお兄さんの猫なの?」
「本当だ……」
これで、無理矢理に猫を持っていったら僕が不審者扱いされてしまうからだ。
だから、なんとかボクっ子から誤解されないように猫を回収したいのだが……
「ほら、ちゃんと猫用のケージも持っているだろう?」
「でも、それでお兄ちゃんがこの猫ちゃんの飼い主だとは証明できないよね?」
「それはそうなんだが……」
そして、困っている僕の様子を見て、ボクっ子が良い提案をするかのように、こう言った。
「なら、ボクを拾ってくれる?」




