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第3話『お風呂と巨乳と黒猫』



「お、おじゃまします……」



 あの後、何故か僕は彼女を自分のマンションの一室にまで上げていた。


 いや、これは連れ込みとかじゃなくて、ただ子猫を助けるついでに彼女を家にあげただけからね……?



「とりあえず、お風呂を用意するから、このタオルで身体拭いてくれる?」

「あ、ありがとうございます……」



 そう言って、僕はハンドタオルを渡して彼女から代わりに子猫を受け取った。


 仕方ないので、彼女が体を拭いているその間に、僕が別のタオルで子猫を拭いてあげるとするか……。



「ミャギャーッ!」

「いや、大人しくしてくれよ……」



 この黒猫、こっちが拭いてやっているのに威嚇して来やがった!?


 彼女が抱いている時は大人しくしてやったのに……



「お部屋、広いですね……」

「ただの1Kのマンションだけど?」


「そのわりには広く感じます……」

「まぁ、一人暮らしだから物が少ないだけじゃない」



 確かに、学生の部屋にしては1Kは広く感じるかも知れないが、生活してみると、意外と手狭なもんだ。



「ご家族は一緒に暮らしていないんですか……?」

「あ、それは……」


 ……ヤバイ!


 このままだと、変な目的で女子を誰もいない部屋に連れ込んだと誤解されるかもしれない!?



「だ、大丈夫! ななな、何も変なことをするつもりは無いからさ!」



 ――って、これじゃ逆になんかやましいことをしようとしているみたいにならないか?


 そんなふうに、僕がビクビクしてると、彼女はキョトンとした顔で、タオルに包まった子猫を抱えてとんでもないことを口にした。



「……別に、この猫ちゃんを拾ってくれるなら、わたしはどうでもいいですけど?」

「いや、よくはねぇだろ!?」



 よくわからん……こういうのって普通は警戒されるものじゃないのか?

 それとも、僕が同じ学校の男子だから冗談を言っているだけだろうか……。



「ちょっと、事情があって家族とは別々で暮らしているだけで……だから、本当に変なことを要求する気は無いから……だから、安心して欲しい」

「そうですか……」



 少し、その返事が残念そうに聞こえるのは気のせいだよね?


 すると、今度は彼女が何を閃いたように口を開いた。



「あ! 一人暮らしなら、猫ちゃんを飼えるじゃないですか!」

「それは無理だから!」



 とりあえず、一時的な保護として家にあげただけで、この黒猫を飼う気はまったくない。



「そ、そうですか……。ご家族がいないなら誰にも反対されずに猫ちゃんを飼える思ったのですが……」

「そもそも、僕自身が反対しているんだけどね?」



 ちゃっかり、僕がその黒猫を飼う前提で話を進めようとしないで欲しい。


 すると、抗議でもするかのように彼女に抱かれた黒猫も小さな鳴き声を上げた。



「シャー!」


 コイツもいっちょ前にここに住むつもりでいたのだろうか?

 図々しい子猫である。



 とりあえず、風呂の用意はできたし、猫を洗うのは彼女に任せるか。



「お風呂場はそこだから、猫をよろしく」

「あ、はい!」



 そう返事をすると、彼女は突然マフラー以外の着ている衣服を全て脱ぎ、白いマフラーと真っ裸の姿になって僕から猫を受け取ろうとしたのだ。




とととと、突然のいきなり『生メロン』が二つも!?!?!?? でっけぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ――じゃないだろ!!?!?!??


 てか、何でマフラーは取らないんだよ!?



「んあなななあ!? なにをしているんだ!? お前はぁああああああああ!?」

「何って……服を脱いだだけですけど?」



 だから、何でおまえが服を脱ぎ出したのかをこっちは聞いているんだよ!



「だって、お風呂に入れって言ったのはそっちじゃないですか……」


「いや、服を着ていても風呂には入れるだろ!?」

「え、服を着たままお風呂に入るんですか!?」


「……ん?」

「……へ?」



 彼女は一体、何を言っているんだ?

 いや、まて……何かが噛み合っていない気がする?


 そもそも、僕は子猫を風呂で温めてあげろとい言っただけで――……



「……もしかして、猫じゃなくて自分が風呂に入れって言われたと思っている?」

「え、わたしの為にお風呂沸かしてくれてたんじゃないんですか!?」


「子猫のためだよ!」

「す、すみません!」



 こいつ、家族でもない男の家で風呂を借りる気だったのか!?


 いや……だからって、そんな無警戒に男の前で脱ぐなよ!



「ミャー!」



 すると、タオルの中の子猫が再び鳴き出した。やはり、タオルで拭いただけでは寒いのだろう。それか、さっきの僕達のやり取りがうるさかったかのどちらかだな。



「とりあえず、先に子猫を温めたほうがいいだろ」

「そ、そうですね……っ!」



 そう言って、彼女が再び黒猫を抱くと、途端に大人しくなった。


 やっぱり、僕よりも彼女の方に懐いているし、彼女がそのままこの黒猫を引き取った方がいいのではないだろうか?


 まぁ、ただでさえ雨の中で弱っているんだ。


 さっさと、子猫を温めて――



「へくり!」



 当然。それは、子猫の鳴き声などでは無かった。


 ……そう、人間もこの雨の中でずっと降られていたら風邪をひく可能性もあるのだ。



「……はぁ、仕方ないから、猫と一緒にお風呂に入って来なよ」

「す、しゅびません……」



 そして、再び服を脱ぎ出す彼女に僕は背を向けるしかないのだった。







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