第2話【一日目】『捨て猫ヒロイン拾いました』
捨て猫だ。
白いマフラーで見えなかったが、彼女の手の中には黒い子猫がいた。
最初は白いマフラーが目立つためか、段ボールに女の子が入っているだけだと思って気が付かなかった。
何故なら……
『ミャ~!』
その黒猫は彼女の豊満な胸に埋もれていたからだ。
……てか、若干彼女が体育座りで段ボールに入っている所為でその膝とデカイ胸に抱えられて黒猫が息苦しそうで鳴いているのは気のせいかな?
「えっと……その子猫は、キミの?」
「いいえ、拾いました」
そっか、拾っちゃったのか~……。
「ダメ、元居た場所に返してきなさい」
「マ、ママにもそう言われました……」
なるほどね。既にお母さんには相談していたらしい。
「お母さんは何でダメなの……?」
「マ、ママが猫アレルギーで……」
あぁ、そりゃ駄目だな。
「そ、それに……元の場所は……」
そう言って彼女は近くの川に目をやった。
ウチは学校が土手沿いに建っているから近くに大きい川が流れて――って!?
「……まさか?」
「あそこに流れていたんです……」
そう言って彼女が指をさしたのはその川だった。
なるほど、濡れているのは雨のせいだけじゃなかったのか……。
「それでも、元の場所に戻すんですか……?」
その事情を聞いた後に、それを言うの反則だろう?
つまり、その黒猫を段ボールのまま川に流して来いって言っているようなものだ。
いくらなんでもそれは無理だ。
事情を知る前ならまだしも、その事情を知った上で僕には返す言葉が無かった。
そして、とどめのように彼女は言ったのだ。
「だから、わたしを拾ってください」
「シャー!」
彼女の白いマフラーの下で、何故か黒猫が僕を威嚇していた。




