表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/68

【プロローグ】



 女の子が捨てられていた。



 小雨が降る下校途中、僕が見たのは汚れた段ボールの中に体育座りでうずくまる白いマフラーを巻いた女の子だった。


 学校は既に終わり帰宅に急いでいる生徒達はその段ボール少女に見向きもしようとせず、あきらかに『それ』を避けて歩いている。


 しかし、僕は帰宅部なので別に急いで帰る必要も無い。

 だからだろうか? そこの道端に落ちている段ボール少女の顔を見ようとしてしまったのは――



「あ……」

「え……」



 よく顔を見たらその白いマフラーの段ボール少女を僕は知っていた。


 同じ高校の子で、名前は……桜井さんと言っただろうか?

 確か、去年一年生の時に同じクラスだった女の子だ。隣の席になったから覚えている。


 二年生になった今ではクラスは別になり特に交流も無かったので、彼女がこんな奇行をする様な人には思えないが……

 もしかしたら、この小雨の中、段ボールで暖を取るのが彼女の趣味なのかもしれない。


 ……うん、ここは分かり合えるかどうかは別として、彼女の趣味を尊重するべきだろう。



「よし、帰るか……」



「あ、あの!」

『ミャ~!』



 そう思って、何も見なかったことにし、その場を立ち去ろうとすると、段ボール少女から僕を呼び止める『二つ』の声が聞えた。



「…………?」



 もちろん、僕を呼び止めた一つの声は彼女のものだ。


 しかし、もう一つの鳴き声は――



『ミャ~!』



 なんと、彼女の手の中に黒い子猫がいた……。


彼女が首に巻いてる白いマフラーで隠れていたのだろう。


 その子猫が『ミャ~!』と鳴いているのだ。



「にゃ、にゃぁ……」



 ……何故か、彼女も鳴いた。



「あ、あの……」

「……何かな?」



 そして、彼女はその子猫を抱えながら僕にすがるような声で言ったのだ。



「わ、わたしを拾ってください」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ