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第20話『選択は――』



「じゃあ、しますか?」

「……?」



 し・ま・す・か…………???


 ……ナニをイッテイルノカナ?



「今日は……誰もいないですよ?」

「うぇっ!?」



今日ハ誰モイマセンYO!?!?!??!?



 ちょっと待て! どど、どういう……意味だぁ?


 彼女が言った言葉の意味を頭の中で翻訳しようと一生懸命考えてみる。

 ピピピ、該当する言語を検索中……翻訳します……ピピピ



『今日は……誰もいないですよ?』



 ――ダメだ! 元から日本語だ!?


 ホワッツ!?!? ナンだコレ、超エッチなセリフじゃん!


 し、しかし……流石にそういう意味で言っていない可能性だってある!

 だって、彼女を見てみろよ!



「……ほぇ?」



 あんんな惚けた顔をしている大人しそうな女の子が『いまからしませんか?』なんて誘ってくるようなエロい子に見えるか!?


 そんな……

 こんなエロくて頭ピンクで巨乳で白マフラーの女の子なんているわけないだろ!?


 ……た、確かに、すぐ抱き着いたりするような巨乳白マフラー女子ではあるけど……

 そ、それは! 警戒心が薄いだけともとれるし……あと、過去の勉強のし過ぎで、ぐれただけだっていう風に受け取れる……!


 そ、そもそも……巨乳でスキンシップが激しいかっらって――




 僕が、直ぐに手を出すと思ったら大違いだぞ!!!




「ぼぼぼ、ボクが…………」



 ……ダメだ! 緊張して、声が……出ないっ!!


 すると、彼女が僕の耳元で囁くようにこう付け足した。



「今日は、お姉さんもいません……」



 ――もう、これ『OK』のサインだろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!



 家に呼ばれる!!!


 そして、家族が朝からいない!!!


 前回糞邪魔だった姉が付け入るすきもない!!! ←ここ重要!


 ここで!!! 行かなかったら!! もう僕は『男』ではないだろう!?!?



 ――よし、覚悟を決めよう。



 ……とりあえず、念のために僕のスマホの電源を切っておくか。

 これで姉から電話やメッセージが来ることは無いな。



「……安達くん?」

「いや……あの……」



 いやいやいや……!


 これじゃあ、僕がまるで? 目の前の餌に釣られて手を出そうとしているみたいじゃないか?


 違う! 僕はあくまで『受け入れる』だけだ!


 そう、僕から手を出すなんて紳士じゃない!

 あくまで僕は『紳士』なのだ!!!



「……ヘタレ」

「違ぁう!!」



 断じてヘタレじゃねぇから!

 ただ、すこぉ~し『受け身』なだけだからね!?


 でも、男としての『正解』は違うのかもしれない……


「…………」


 僕が黙って(悩んで)いると、それを見かねたのか彼女が先に動き出した。


「じゃあ、抱きしめていいですか?」

「それは……」



 その彼女の問いに対する、僕の選択は――



「…………」



 ――『拒否しない』だった。



「安達くんはやっぱり優しい(いい子)ですね」



 彼女はそう言って、ゆっくりと僕の上に体重をかけるように抱き着いて来た。


 彼女の腕が僕の首に巻きつき、その大きな胸が体重と共に押し付けられて僕は成す術なく彼女の部屋のベットの上に彼女と共に倒れ込む。



「ふぁ……」


 彼女の口から吐息が漏れた。


 僕と彼女の身体が密着し、その柔らかい体からは予想もできないような強い力で、僕の身体を抱きしめてきた。



「安達くんも、触っていいですよ」



 ……どこを!!?


 やべぇ、触れて問題なさそうな場所がマフラー以外思いつかない……



 そう、僕が悩んで固まっていると、彼女の手が僕の手を取り、僕の手を彼女の胸元……いや、その大きな胸に触れるように重ねた。



「……触ってください」

「桜井……さん!?」



 柔らかい、彼女の吐息も心なしか荒々しくなっている気が――



「ハッ!」


 ――って、違う!


 ヤバイ……り、理性が吹っ飛ばされるところだった。


 ……クッソ! おっぱい一回の感触で、ここまで我を忘れるとは……いや、そもそも、一般男子学生が『おっぱい』の魅力に勝てるわけないのだ。



 だけど、彼女が触っていいって……でも、訴えられたら負ける……っ!


 しかし『おっぱい』の魅力には勝て――



 その時、彼女のスマホの画面が光った。



「あ! ちょっと、待ってください!」



 ――触ろうとしてませんよぉおおおおおおおおお!?



 瞬間、僕は強い意思の力で精一杯の苦悩と煩悩を蹴っ飛ばし、彼女から距離を取った。


 彼女から離れた理由は彼女のスマホに通知が来たからではなく、僕が元々――



『変なことは止めなさい。もっと自分を大切にした方がいい……(キラーン!)



 ――と言って彼女から離れるつもりだったからである。


 ……決して嘘では無いし、まだ未遂だし、それでも僕はまだ触っていないから無罪だ!


 いや……だけど、彼女がスマホを確認し終わったら――



 すると、スマホを見ていた彼女が突然つぶやいた。



「ママが帰って来るみたいです」

「は……ぁ?」



 ほぉはぁあぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?


 ここまで来て、ふっざけ――――――――――――――――




 ――――――――――じゃない! あっぶねぇえええ!! 




「それじゃあ、僕は帰った方がいいね……」



 危ない危ない。そもそも、僕は彼女に手を出すつもりなんて無かった。


 むしろ、これは彼女のスマホが光らなくても結果はなぁーにも変わっちゃーいないんじゃないかな?


 うん、そうだ! 結果、良しとしよう!!



「紹介しますか……?」

「……ん?」



 しょうかい? って、ナンダイ?



「ママ、紹介しますか」



 あぁ~、僕をママに紹介じゃなくて、

 僕にママを紹介するのね。


 まぁ、その『僕を』でも『僕に』でも大した違いは無いだろう。


 問題は違うんだ。


 今ここで問われているのは『触りますか?』だったはずなのに『紹介しますか?』に変わっている事だろう。


 そもそも、触ってから紹介されるのと紹介されてからおっぱいなのは割と色々問題がおっぱいで一杯な気がするけど……



「違うんだ……僕は決してキミのご両親に挨拶をしたくないというわけではなくてね?」

「うーん……」



 すると、悩んでいる僕を見て彼女はこう問いかけた。



「じゃあ、紹介していいですか?」

「…………」



 その彼女の問いに対する、僕の選択は――



「逃げるぞ!」



 拒否するだった。





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