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第16話『お受験』
ふつうの小学校を卒業して二回目のお受験が始まった。
中学受験だ。
ママは今回もふつうのお受験だから『桃ちゃんは、良い子だから大丈夫だわ♪』って、言っていた。
だから、わたしも今回もいつも通り『良い子』にしていたら良いんだと思った。
いつもどおり、ママのいうことを聞いて、
いつもどおり、学校の先生のいうことを聞いて、
いつもどおり、家庭教師のいうことを聞いて、
いつもおどり、塾の先生のいうことを聞いて、ピアノの先生のいうことも聞いて、ママのいう通りに……『良い子』にしてなくちゃいけない。
だって、いつもどおりの『ふつうの良い子』にしていれば、ママが喜ぶから。
――でも、わたしは失敗した。
わたしはふつうの中学に行けなかった。
そう、中学の受験結果が不合格だったのだ。
わたしの中学受験は失敗した。
……いや、ママの中学受験が失敗したのだ。
『桃ちゃんは、《《良い子》》だから♪』
つまり、わたしは良い子はなくなったのだ。
そう思った瞬間、わたしは息苦しさのあまり自分の首を抑えた。




