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第7話
それからというもの、桜井くんのことが、前よりもっと目に入るようになった。
ある日の昼休み、廊下の窓から下のグラウンドが見えた。桜井くんが、一年生らしい男の子と一緒にボールを蹴っている。先輩らしく偉ぶるでもなく、笑いながら、何度も同じパスにつきあってあげていた。シュートが決まると、その子よりも嬉しそうにハイタッチをする。
人気者だから優しいんじゃなくて、優しいから自然と人が集まるんだ。そのことが、見ているだけの私にも、なんとなくわかってしまった。だから、よけいに苦しい。
ふと視線を感じて横を見ると、いつのまにか蓮くんが、少し離れた場所から同じようにグラウンドを眺めていた。目が合う。私はあわてて窓から離れようとした。けれど蓮くんは、何も言わずに、ただ小さく口の端を上げただけだった。まるで、私が何を見ていたのか、ぜんぶ気づいているみたいに。
その表情の意味がわからなくて、私は逃げるように教室へ戻った。胸の奥が、また勝手にうるさくなっていた。




