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第43話
何か、できることはないだろうか。その夜、机の引き出しを開けて、あのしおりを取り出す。電車で彼が拾ってくれた、私の宝物。これがきっかけで、ぜんぶが始まった。それなら――。
私は週末、手芸屋さんで材料を買ってきて、不器用な手つきで、小さなしおりを手作りした。青い糸で、朝の空の色。隅には、目立たないくらい小さな四つ葉の刺繍を入れた。お守りと呼ぶには地味すぎるかもしれない。それでも、いまの私にできる精一杯だった。
大会前日の放課後、練習へ向かう桜井くんを、勇気を出して呼び止めた。「あの、これ……お守り、みたいなものなんだけど。よかったら」。震える手で差し出すと、彼はしおりをじっと見つめて、それから、ゆっくりと目を細めた。
「手作り? ……まじか。うれしいな」。大切そうに、両手で受け取ってくれる。「俺、明日これポケットに入れて走るわ。絶対」。しおりなのに、と二人で笑い合って、それから彼は、いつもより力強い足取りでグラウンドへ駆けていった。その背中に、どうか届きますように。私は祈るような気持ちで、小さく手を振った。




