前へ目次 次へ PR 34/44 第34話 「今日、葉山さんがいてくれて、ほんとに助かった」。火を見つめたまま、桜井くんが言う。「ていうかさ、最近、ずっと思ってたんだけど――」 その続きを、桜井くんが口にしかけたとき。「桜井ー! こっち来て一緒に踊ろうぜ!」と、クラスの男子たちが彼を呼ぶ声が響いた。 桜井くんは、言いかけた言葉を飲みこんで、「……ごめん、また今度」と苦笑いした。その「また今度」が、何だったのか。聞けないまま、私の胸は、炎よりも熱く高鳴っていた。あと少し。あと少しで、何かが届きそうだったのに。