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第25話
「理由は聞かない。でも、ひとつだけ言っとく」。窓の外に目をやって、それから私を見た。「朝陽、めずらしく落ちこんでるよ。自分、なんか悪いことしたかなって。あいつ、葉山さんとの本の話、すごく楽しみにしてたから」
その言葉が、胸にぐさりと刺さった。私が逃げたせいで、桜井くんが、自分を責めている。
「逃げるのは、簡単だよ」。蓮くんの声は静かだった。「でも、それで誰かを傷つけてるなら、ちょっと違うんじゃないかな」
それだけ言って、蓮くんは去っていった。残された私は、しばらくその場に立ちつくしていた。怖いから、傷つきたくないから――そう言って逃げているあいだに、私は、いちばん大切にしたかった人を、傷つけていたのだ。
もう、目をそらすのはやめよう。震えながらも、私は、ひとつだけ心に決めた。明日こそ、ちゃんと、桜井くんに謝ろう、と。




