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第24話
あんなにまっすぐな気持ちを持った子がいるのに、私みたいな内気な人間が、桜井くんのそばにいていいのだろうか。一緒にいると、玲奈さんを傷つけてしまうんじゃないか。そんな考えが、頭から離れない。
次の朝、桜井くんが「おはよう」と声をかけてくれたとき、私はとっさに目をそらして、「おはよう」とだけ返して、すぐに席についてしまった。本の話も、しなかった。
それが何日か続いた。桜井くんは、はじめは不思議そうにしていたけれど、だんだん、戸惑ったような顔をするようになった。話しかけても、私がそっけないから。
自分でも、ひどいことをしている自覚はあった。逃げているだけだって、わかっていた。それでも、近づいて、また期待して、傷つくのが怖い。怖くて、足が動かない。
ある日、桜井くんが何か言いたそうにこちらを見たのに、私はうつむいて、気づかないふりをした。せっかく並んで歩けるようになったのに。私はまた、ひとりで、うしろへ下がろうとしていた。




