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第23話
その不安は、思いがけないかたちで現実になった。
放課後、ひとりで廊下を歩いていると、隣のクラスの女の子に呼び止められた。玲奈さん。明るくてかわいくて、いつも人の輪の中心にいる、あの子だった。前に、桜井くんと楽しそうに笑っていた子だ。
「葉山さん、だよね。ちょっといい?」。玲奈さんはまっすぐ私を見た。意地悪な感じではない。むしろ、はっきりとした、きれいな目だった。
「桜井くんと、最近よく一緒にいるって聞いたんだけど。二人って、付き合ってるの?」
心臓が、どくんと跳ねる。「ち、違うの。ほんとに、ただの……」。うまく言葉が出てこない。
玲奈さんは少しのあいだ私を見つめて、それから、ふっと寂しそうに笑った。「そっか。ならいいんだ。……あたし、桜井くんのこと、いいなって思ってるから。一応、確かめたくてさ」
正直に打ち明けられて、私は何も言えなくなった。こんなにかわいくて、自分の気持ちをまっすぐ口にできる子が、桜井くんを好き。それにくらべて、私は――。胸の奥が、また冷たく縮んでいくのを感じた。




