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第21話
テストが終わると、私たちが一緒に勉強する理由は、なくなってしまった。
放課後、図書室にひとりで座っていると、なんだか胸の奥がすうすうした。あの数日間が、まるで夢みたいに思える。きっと、もう元どおりだ。朝の「おはよう」だけの関係に、戻っていくんだ。そう思うと、寂しくてたまらなかった。
ところが翌朝、桜井くんは当たり前みたいに私の席へやってきた。借りていた本を、ていねいに返してくれる。「ほんと面白かった。あのさ、この人の他の作品もあるなら、また貸してくれない?」
え、と私は顔を上げる。テストはもう終わったのに。
「いや、葉山さんのおすすめ、当たりばっかりだから。なんか、新しい世界が増えた感じがしてさ」。照れたように頭をかく桜井くん。
その言葉に、すうすうしていた胸が、ふわっと満たされていく。勉強のためだけじゃなかった。私と話すことを、ちゃんと続けたいと思ってくれている。「うん、明日……持ってくる」。うなずく私の声は、自分でも驚くほど弾んでいた。本が、私たちをつないでくれている。それが、たまらなく嬉しかった。




