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電車で助けてくれたきみは、クラスの人気者でした  作者: TAKA


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第19話

放課後の図書室。向かい合って座った桜井くんは、教科書を前に、すでに難しい顔をしていた。「この『けり』とか『なり』とかさ、もう呪文にしか見えないんだけど」


私は思わず小さく笑って、ノートにゆっくり書きながら説明していった。助動詞の意味、活用のしかた。ふだんは人前で話すのも苦手なのに、教えているときだけは、不思議と言葉がすらすら出てくる。


桜井くんは意外なほど真剣に聞いてくれた。わからないところは素直に「ここもう一回」と言い、わかった瞬間には「あ、そういうことか!」と顔を輝かせる。その反応のひとつひとつが、なんだか嬉しかった。

ノートを指さそうとして、ふいに二人の手が触れそうになる。とっさに引っこめた私を見て、桜井くんがくすりと笑った。「葉山さん、教えるの上手だな。学校の先生より、ずっとわかりやすいよ」


まっすぐな褒め言葉に、顔が熱くなる。うつむきながら、ありがとう、とつぶやく。窓の外では、夕日がオレンジ色に教室を染めていた。この時間が、もう少しだけ続けばいいのに。気づけば、そんなふうに願っている自分がいた。


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