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第18話
そんなある日、教室の壁に中間テストの日程表が貼り出された。とたんに、桜井くんが机に突っ伏してうめき声をあげる。「終わった……俺、古文ほんとに無理なんだよ」
意外だった。サッカーも上手で、誰とでも話せて、なんでもできるように見える桜井くんにも、苦手なものがあるなんて。蓮くんがすかさず横から言う。「朝陽、前回の古文、赤点ぎりぎりだったもんな」。「言うなって!」
その様子を見ていた七海が、突然ぽんと手を打った。そして、にっこり笑ってこう言ったのだ。「桜井くん、それなら詩織に教えてもらえば? この子、古文めっちゃ得意だから」
ちょっ、七海、と止める間もなかった。桜井くんが、ぱっとこちらを向く。「えっ、葉山さん、古文得意なの?」
得意というほどでは、と口ごもりながらも、本を読むのが好きなおかげで、古典の文章は人より読めるほうだった。期待のこもった桜井くんの目に、私は心臓を高鳴らせながら、小さくうなずくしかなかった。
「マジで? じゃあ……お願いしてもいい?」。そう言われて、断るなんて、できるはずもなかった。




