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第14話
蓮くんの言葉は、確かに私を勇気づけてくれた。でも、現実はそんなに甘くなかった。
昼休み、廊下を歩いていると、桜井くんが何人かの女子に囲まれて笑っているのが見えた。その中心にいたのは、隣のクラスの子だった。明るくて、はっきりものを言う、誰が見てもかわいい女の子。彼女が桜井くんの腕を軽く叩いて、二人で楽しそうに笑い合っている。
その光景を見た瞬間、胸の奥が、きゅっと縮んだ。
私とは、ぜんぜん違う。あんなふうに自然に近づいて、当たり前みたいに笑える子が、彼のまわりにはたくさんいる。それにくらべて私は、朝の「おはよう」ひとつでせいいっぱいで。
近づいたつもりでいたのは、私だけだったのかもしれない。そう思うと、足元がすうっと冷たくなった。
「おすすめ教えてよ」なんて、きっと桜井くんにとっては、なんてことない社交辞令だったんだ。勝手に期待して、勝手に舞い上がって。自分のことが、急に恥ずかしくなる。教室に戻る足取りは、来たときよりもずっと重かった。




