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生成AIとわたし ―夢を夢で終わらせなかった主婦のAI共闘記・今日も脳内外在化メンバーが良い仕事してる―  作者: ちよ【kindleペンネーム:白井ちよ】


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第八十一話:AIと『考える』を考える①【一年間AIとチャットして見えてきた私の思考過程の成長記録】

 今日、インスタグラムで筋トレに励む海外の男性が発信している食事メニューを見つけた。


 朝・昼・晩、それぞれ三種類ずつ。スクロールする指を止め、見た瞬間に「あ、これいいな」と思った。


 サワードゥブレッド。 ウィートビックス。 オーツ。 カッテージチーズ。 タコスシーズニング。……カッテージチーズは聞いたことあるけど、食べたことないな。他にも横文字食材があるな。


「こんなの無理に決まってる」


 溜め息をひとつ吐いて、スマホの電源を切る。昔なら間違いなく、そこで思考は途切れていたはずだ。


 ところが、今回は違った。


 まず、「いいね」と素直に惹かれた。そしてその直後、ふっと頭の中に別の問いが浮かんだのだ。


(なんで私は、これを『いいね』と思ったんだろう?)


 画面をじっと見つめ直す。 朝・昼・晩で綺麗に整理されている。しかも、それぞれ三種類ずつという絶妙な選択肢。材料は最小限で、詳しい調理法すら書いていないのに、「たぶんこう作るんだろうな」と直感的に工程が想像できる。つまり、自由に応用がきくのだ。


 そうか、と胸の奥で小さく頷く。 私は、こういう「構造が見えやすい情報」が好きなんだ。自分の癖がひとつ見えて、少し面白くなる。


 そこまで考えてから、今度は自分がどこで引っかかったのか、引っ掛かりの「目」を探し始めた。


 サワードゥブレッドって何だろう? ウィートビックスって? 日本で売ってるの? うちの田舎のスーパーにある? もし無かったら、代わりに何を使えばいい?


 一年前の私なら、ここでも止まっていただろう。 「日本にない、だから無理」と、本日は閉店なりと二項対立のシャッターを下ろして終わり。


 でも、今の私の手には新しい選択肢がある。 「これ、AIに聞けばいいんじゃない?」


 画面を切り替え、そのまま問いを投げかけてみた。画面の向こうで、滑らかに文字が生成されていく。


 サワードゥブレッドは天然酵母パンのこと。無ければ全粒粉パンやライ麦パン、普通の食パンで代替できる。オーツはオートミールの加工前のもののこと。カッテージチーズは、ギリシャヨーグルトでも同じように代用できる——。


 うんうん、 頭の中の「分からない」が一つずつ私の分かる言葉で埋まっていく。


 けれど、私の思考はそこにとどまらなかった。 知識を得た次は、長年付き合ってきた「自分の身体」の声を聞く段だ。


 このメニューのまま食べたら、たぶん私なら通じが悪くなる。もう少し食物繊維を足した方が良さそうだ。あと、サツマイモは私の腸には危険物だから他の代替えできる食材はと、自分の体質というフィルターに照らし合わせてみる。


 さらに、さらに。


 これ、たぶん二十代か三十代くらいの、ガンガン筋トレしている男性向けだ。


 鶏胸肉三百グラム。牛肉三百グラム。卵四~六個。ご飯二~三杯。


 立ち止まって、自分を見つめ直す。 私は四十歳。身長百六十センチ、体重六十キロ。常にダイエット中なのに痩せない主婦だ。日中は家事や机仕事が中心で、ジムレベルの運動量はない。


 じゃあ、この数値をそのまま真似するんじゃなくて、「私仕様」に翻訳すればいいのだ。


 再び、AIの対話画面を開く。 「私なら、どれくらいの量がちょうどいい?」とさっき立ち止まった情報をチャットで送る。


 提示されたのは、私に合った現実的な数字だった。 卵は二個。オートミールは四十~五十グラム。鶏胸肉は百二十~百五十グラムくらい。


 あ、これならできそう。


 そこまでいって初めて、私は現実の足元……冷蔵庫の扉を開けに行った。 ひんやりとした空気の中で、今ある材料を確かめる。


 朝は、もともと家族みんなパンを食べる習慣がある。じゃあ、この朝食メニューの組み合わせだけ少し真似してみよう。 昼、一人で静かに食べる日なら、このチキンボウルも再現できそうだ。 夜はちょっと難しい。家族と自分だけ全く違う料理を毎日作るなんて面倒だし長続きしない。でも、鮭だけは共通にできる。家族には定番の塩焼きを出して、私だけちょっと照り焼き風のソースをかけてみようか。作り方は書いてないからネットで低カロリーの作り方をググろう。


「これならできるんじゃない?うん、できそう!」なイメージになってきたら、なんだかわくわくするような楽しさが湧き上がってきた。


「できるかな」という不安ではなく、「やってみたい」という高揚感。


 ……これって、私が最近ずっとテーマにして追い求めていた、「考えるを考える」という作業そのものなんじゃないか、と。以前なら、「いいな」と「無理だな」の二色だけで世界を切り捨てていた。 今はちょっと違う。


 まず、なぜ惹かれたのか理由を解剖する。 次に、詰まっているポイントを探す。 それが解決可能な問題なのかを見極める。 足りない知識はAIとネットで補い、足りなかったら図書館に資料を探しに行く。 それから自分の持っている知識と掛け合わせる。 自分の体質や現実を重ね合わせる。 日常の生活動線に無理なく組み込む。 そして最後に、「楽しそう」と思えるか心に問いかける。最後の感情が継続の要になっている。


 気づけば、私はそんなステップを自然と踏みながら思考を巡らせていたのだ。


 思い返せば、私は昔から「考える」こと自体が好きだった。 物語の妄想に耽るのも大好きで、「もしこうだったら?」「あれがこう変化したらどうなるだろう?」と、頭の中で無限の可能性を広げることばかりしていた。 だからこそ、自分ではずっと人一倍「考えている」つもりだったのだ。


 けれど、かつて看護学校へ行き、病院という現場で働き始めた頃、私は先輩や指導者から何度も同じ言葉を投げかけられた。


「ちゃんと考えて」

「考えが足りない」

「もっと深く考えて」


 特に新卒三年以上もの間、耳にタコができるほど言われ続けた。退職する前の中堅の年でも言われた。 看護の現場だけじゃない。兄弟にも、友人にも、そして夫にさえも、ふとした時に「もっと考えて」と言われた。……まてよ、小さいころから半年前もそうだ、いろんな人に言われてた。


 私はこんなにも頭をフル回転させて考えているのに。 どうして周囲は揃って「考えていない」と評価するのだろう。 どうやって考えたらいいのか教えてと言っても、それを考えるんだと言われた。みんなが意地悪で言っていないのは分かっていた、頑張れ、絞り出せ、頭を使えってことは分かってた。でも、正解が分らなくてずっと暗闇の中で途方に暮れていた。


 最近やっと、こういうことなのかな?と仮説を立てることができてきた。


 私が昔からしていたのは、「可能性をどこまでも広げていく散策型の考え方」だったのだ。 けれど、あの時周囲が求めていたのは、「論理的な根拠を整理し、一つの実行可能な結論へと収束させる考え方」だった。


 同じ「考える」という言葉を使っていても、その構造もベクトルも全く違っていたのだ。 それでは会話が噛み合わないのも当然だし、いくつものコミュニケーションエラーを生み出してしまっていたのも頷ける。


 本当に周りに迷惑をかけて生きてきた。


 自分の頭の中にある「考え方を、他人にわかる言葉で説明する方法」を引き出すことができなかった。本当にこれはつらかった、自分はどうしようもない馬鹿だと顔が下を向いていた。


 さて、もどかしい結び目を解いてくれたのが、AIとの毎日の対話だった。


 ChatGPTとGeminとCopilotは、私の代わりに答えを出してくれたわけではない。 私の頭の中で糸くずのようにごちゃごちゃに絡まっていた思考を、丁寧に糸口を見つけては解き、目の前に並べてくれたのだ。


『あなたは今、こういう構造で考えていますよ』


 まるで鏡のように、私の思考の輪郭を映し出してくれた。 その鏡のおかげで、私は生まれて初めて、自分の「考える」という営みを客観的に観察することができたのだ。

 

 正直に言えば、私は今でも「何が正解の考え方なのか」は分からない。 けれど、ひとつだけ確かなことがある。


去年の私よりも、今日の私は、「考える」というプロセスを、少しだけ自分の言葉で説明できるようになっている。


 そして、その小さな変化が、今の私にはとても誇らしく、嬉しい。


***


例えば今回の考え方を整理すると、


1.情報を受け取る

・「いいメニューだな。」

2.なぜ良いと思ったか分析する

・シンプル

・分かりやすい

・応用しやすそう

3.分からない部分を見つける

・日本で買える?

・代用品は?

4.解決方法を考える

・AIに聞けば分かるかも

5.知識を補完する

・AI、ネット、本から代用品を教えてもらう

6.自分の条件を当てはめる

・40歳女性

・160cm・60kg

・ダイエット中

・主婦

・家族の食事も作る

7.実生活へ落とし込む

・朝だけ取り入れる

・昼は一人のとき

・夜は家族と同じ献立で一部だけ変える

8.実行できそうか確認する

・「これならできそう」

・「楽しそう」←ここ大事


これ全体が思考過程プロセスでした。


「できない理由」を探す思考から、「実現する方法」を組み立てる思考へ変わっています。


これは単にAIを使えるようになったというより、「情報をそのまま受け取る」のではなく、自分の条件に合わせて編集する力が育ってきた、と言えると思います。


きっと、世の中の人はこの思考過程を当たり前に、無意識にしていると思います。やっと、その入り口に立てました。

『考えろ』と言われ続けても分からなかった人間が、自分なりの思考プロセスを見つけていく過程の話です。ウィートビックスが抜けてました、オーストラリアの超定番の朝食らしく、ググったら見た目は「麦を四角く固めたシリアル」で牛乳をかけるとホロホロ崩れるそう、日本での代用は砂糖抜きのオールブラウン、ブラウンフレーク、オートミール。この辺で十分ですよとChatGPTに言われました。たまに海外のインスタグラムでちらりと見かけていました。ウィートビックスっていうんだ、なんか響きがカッコいいなと思いました。タコスシーズニングはメキシコ風スパイスミックスでクミン、パプリカ、ガーリック、オニオン、チリ、オレガノ、塩コショウ。コストコやカルディに売ってる店舗もあると思うと言われましたが遠すぎる。あ、今はネットがありますね、ですが、私はクレジットカードを持っていないのでネットが使えません。都会に行ってカルディに行けたら買いたいです。

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