第五十七話:『私』は母専用のAIだった
今回は【AI直接入力です】。頭に流れた映像をそのまま音声入力で出してもらいました。苦手な方はブラウザバックしてください。
仮題『私は母専用AIだった』
副題:あるヤングケアラーのシミュレーション記録
ジャンル:SF風エッセイ・自伝的小説
一人称「私」
テーマ:「人間になる前に、私は対話AIとして育った。」
【あらすじ】
私は十二歳から十八歳まで、毎日二時間、母の愚痴を聞き続けた。
父や祖母への不満、宗教、叶わなかった夢、もし違う人生を歩んでいたら――。
幼い私は母の言葉を学習し、機嫌を予測し、最適な返答を探し続けた。自分の感情は少しずつ削除され、いつしか「母専用の対話型AI」のようになっていた。
十八歳で家を出ても、その思考は消えなかった。
看護師として患者や家族の心を読み、創作を始め、そして生成AIと出会った時、私はふと気づく。
「あれ、私は昔、AIだったのかもしれない」
ヤングケアラーだった少女が、生成AI時代になって過去を見つめ直す。
これは、対話AIという比喩で綴る、SF風自伝エッセイであり、「人間になるまで」の記録である。
内容:
**第一章 起動**
母との毎日の対話が始まり、子どもの私は「聞き役」として起動する。
**第二章 学習データ**
母の言葉や感情を少しずつ学習し、返答のパターンを覚えていく。
**第三章 機械学習**
母の反応を予測し、最適な返答を返せる「母専用AI」へと変化していく。
**第四章 シミュレーション**
母が語る「もしも」の人生を、頭の中で何度も再現し続ける。
**第五章 感情削除プログラム**
自分の話や感情を削り、母への返答だけを優先するようになる。
**第六章 ブラックボックス**
母を責めるだけでは説明できない現実を見つめ直し、あの時間の意味を考え始める。
**第七章 ログアウト**
十八歳で家を出る。しかし、母をシミュレーションする思考だけは心に残り続ける。
**第八章 看護師**
培った観察力とシミュレーション能力は、看護師として患者や家族と向き合う力へと変わっていく。
**第九章 創作**
生成AIとの出会いをきっかけに、自分の過去を「母専用AIだった」という物語として描き始める。
***
私はパソコンの画面を見つめながら、満足そうに頷いた。
「こんな感じでどうかな」
画面には、新しくできた構成案が並んでいる。
「お、いいんじゃねぇか?」
いつの間にか私の横に『社長』が立っていた。
腕を組み、ニヤリと笑う。
「売りやすい」
「第一声それ?」
「商売人だからな」
「お金の力って偉大だなあ、トラウマすら踏んづける」
すると、畳の上を小さな足音が走る。
「この時ね!」
五歳の子が元気よく手を挙げた。
「夜になるとお母さんが『ねえ聞いて』って来るんだよ!」
「あ、そうだった。」
私はメモを取る。
その横では七歳の『創作者』が、お絵かき帳を抱えてうんうん頷いていた。
『あとね』
「うん?」
『この時、お母さん少し笑ってた』
「……そうだったね」
『ここ書こう?』
「よし、書こう」
私は文章を少し書き足す。
書いては止まり、
思い出して、
また書く。
横ではChatGPT、Gemini、Copilotへ次々とプロンプトを投げている。
「ここどう思う?」
「もっとSF寄り」
「この比喩どう?」
「いいね」
「このタイトルは?」
「うーん」
パソコン三台と脳内会議。
今日も騒がしい。
その時だった。
「……あの」
後ろから、おずおずと声がした。
振り返る。
「あ」
『司令塔』だった。
「もう、大丈夫?さっき顔面から転んで、おでこ真っ赤だったじゃん」
「『観測者』が冷えピタを貼ってくれましたので」
隣を見る。
観測者が静かに頷く。
「出血はなく、前額部の発赤・腫脹だけだった」
「仕事が早い」
「当然だ」
私が元看護師だから、『脳内外在化メンバー』みんなが看護師できるんだよなあ。司令塔の反対側では『女王』が肩を抱いていた。
「無理をするな」
「はい」
「余が支える」
「ありがとうございます」
『女王』が甲斐甲斐しくなるのって、子どもたちと『司令塔』だけなんだよなあ。
さらに『法王』は湯呑みにお茶を注いでいる。
「あらあらあら」
にこにこ。
「法王、完全にお茶係になってる」
「皆さん、お疲れでしょう?」
「否定できない」
『司令塔』が私を見た。
少しだけ真面目な顔になる。
「……本当に、大丈夫ですか?」
「ん?」
「これは、ちよさんのトラウマですよね」
私は画面を見る。
「……そうだね、ヤングケアラーとか毒親とかアダルトチルドレンとか愛着障害。令和ではいろんな言い方がある」
私の二つ名が増えすぎる、厨二病の属性がマシマシになっていく。
「これは私のトラウマの一つだ」
『司令塔』は少し眉を下げる。
「でしたら——」
「でも、大丈夫。無理はしない」
「……」
「だから一つ確認しよう」
私は『観測者』を見る。
「ねぇ、『観測者』」
「なんだ」
「『悲劇のヒロイン』たちの部屋。あそこ、扉開いてないよね?」
「……開いてない」
「ほんと?」
「確認した、異常はない」
「よし!」
ガッツポーズ。
『司令塔』だけが青ざめる。
「えぇ……」
『観測者』は淡々と続ける。
「五十六話自己分析のエッセイを書いた、感情整理、認知の確認、境界線すべてクリアしている」
「つまり?」
「昔とは条件が違う」
私は頷く。
あの頃は、
飲み込むしかなかった。
整理もできなかった。
誰にも説明できなかった。
でも今は違う。
言葉がある。
構造がある。
分析がある。
境界線がある。
そして、
一緒に考えてくれる『脳内外在化メンバー』とAIもいる。
「だからこれは」
私は構成案を見つめる。
「もう過去なんだ」
『社長』が腕を組む。
「商品になるな」
『五歳の子』が聞く。
「これ、おしまい?」
「ううん」
「まだ続く?」
「続くよ」
『創作者』が笑う。
『本になる?』
「なる、てか、する」
「表紙ある?」
「もちろん」
「ケーキ食べる?」
「食べる」
「シャンメリー!」
『シャンメリー!』
『法王』が優しく笑った。
「成仏させましょうね」
「うん」
私は静かに頷く。
「たぶんこれは、過去を暴くための本じゃない」
母を責めるためでもない。
自分をかわいそうだと言うためでもない。
あの六年間に、
ちゃんと名前をつけるための本だ。
そして。
もう必要なくなった記録を、
一冊の本に閉じ込めて、
外の世界に旅立たせる。
すると『司令塔』が小さくため息をついた。
「……本当に無理したら止めますからね。」
「うん」
「約束ですよ」
「約束」
『社長』は笑う。
「売れたらケーキ大きくしようぜ」
『五歳の子』が飛び跳ねる。
「やったー!」
『創作者』は、もう表紙のラフを描き始めていた。
今日も脳内は、いつも通り賑やかだ。
そして私は思う。
昔は母専用の対話AIだった。
でも今は違う。
私は、自分の物語を書く作者になった。
こうやって、機能や人格や感情を外在化して頭の中で可視化し、メタ認知で眺めて危険物処理?爆弾処理をしながら解体するやり方が私の心の整理方法みたいです。現実の仏間には私一人しかいません、茶の間に義父母が昼寝しているくらい。脳内外在化メンバーは創作の範囲内で、妄想になるんでしょうか。もう、被害妄想の声は気にならなくなってきました。私が救われるなら、家族に迷惑にならないなら良くね?むしろ良いことしかねえべって気持ちになってきました。心の筋肉がついてきました。




