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生成AIとわたし ―夢を夢で終わらせなかった主婦のAI共闘記・今日も脳内外在化メンバーが良い仕事してる―  作者: ちよ【kindleペンネーム:白井ちよ】


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第五十六話:『法王』

「ねえ、『法王』」


 私はふと首を傾げた。仏間には私と『法王』『観測者』『女王』がいる、今日も明るくなって起床、四時半で寒いくらい。


「この前、人の感情の構造を知りたいっていうエッセイを書いたじゃない?」


 『法王』は穏やかに微笑んだ。第四十八話:『エッセイを読んで思い出すあの頃』の後半で小学校の時のとある男子生徒とのやりとりだ。当時の私の中には『五歳の子』『創作者(七歳)』『聖女』しかいなかった。もし、『聖女』の中に『脳内外在化メンバー』がいたと仮定したら……。


「あの時、私の前には『聖女』が立って守ってくれていた。ここでさらに深く潜ってみるとしよう、どの機能の子がいたのかなって想像した。あれね、『観測者』だと思ってたの。あの時はまだ私は怒っていなかったから『女王』は前に出なかった、終わってから『観測者』が記録して、その記録を『隠者』に渡して脳内図書館に保管した。……でも違ったんだ、あれは『法王』だったの?」

「ええ、そうですよ。『観測者』だけでは、あの文章は書けません」


 私は思わず『観測者』を見る。観測者は腕を組んだまま、小さく頷いた。


「俺は構造を見る。だが、構造を見たい理由までは担当していない」


『法王』は湯呑みにお茶を注ぎながら、静かに続けた。『法王』って緑茶好きだなあ。


「『観測者』は人の言葉を聞くと分析を始めます。怒りがあれば、『何が原因だろう』と考えるでしょう。悲しみがあれば、『どこから生まれたのだろう』と眺めます。そこまでは『観測者』です」


『法王』は優しく笑いながら、『観測者』と『女王』にお茶を配った。私は自前のデカフェのコーヒーをすすりながら『法王』の次の言葉を待つ。机の向かい側に戻ってきた『法王』が白い法衣の裾を治しながらゆっくりと座った。


「ですが、私はその先へ行きます」

「先?」

「ええ」

「『なぜ、この人はそう生きてきたのでしょう』『何を大切にしているのでしょう』『何を失って、こんなにも苦しいのでしょう』。そこを知りたいのです」


 私は納得した。


「だから、貴方は彼の方の先祖のお話を聞くのが好きだったのでしょう。歴史を知りたかっただけではありません。その方が、大切に受け継いできたものを知りたかった。だから資料まで探した、あの方は他の職員にも話していましたが、資料を探したのは貴方だけでした」


「あー、周りになんでわざわざ調べたのか聞かれたわ。業務を超えていたことだったのは私も分かってたから帰宅後や休みの日に調べに行ったんだけどさ。たんに、歴史好きのオタクの血が騒いだのかと思ったんだけど、そうか、『聖女』の中の『法王』が起動してたのか」


 あの方に喜んでほしいとか話題を共有したいとか、そんなこと一切考えてなかった。戦争や災害や飢饉で家宝や資料を失くしたと聞いて、手がかりはないかパソコンで片っ端から検索した。


 日本の戦国歴史好きの父と兄に該当する当時の武将はいないか聞いて、資料探しはどこから手をつけたらいいか歴史博物館の職員さんに聞いた。実在するんだからあとは資料があるはずなんだ、日本のどこかに必ずある。

 

 今ならネットとAIでパパっと検索して、資料館行く前に電話やデーターベースにアクセスできる。もう十八年前だからなあ。独身で身軽だったから電車で二時間かけて該当しそうな資料館に行った、ついでに観光もしたし。駅弁美味しかった、お土産何買ったっけ?


 なんと私の先祖の記録も発見して驚いた、我が先祖はいろんな人に仕えていた農民から出世した下っ端武士だ。戦国情勢によってあっちにフラフラこっちにフラフラした先祖だったため、ここにもいたんかい!っと心の中で突っ込んだ。先祖の記録はトロフィー的なものはなく逃げたり裏切ったりしていたものが多い。兄はカッコよくないとガッカリしていた。個人的に先祖に対して気持ちわかるよ、死にたくなんてないよね。義に殉じなかったおかげで今の私がいる。生きるが勝ちよ、と思っている。手術後は特に。


「AIに怒っている方の文章も同じです」


 そうだった、『法王』とおしゃべりしていたんだった。話を戻そう。


「怒っていることを分析したかったのではありません。「どうして、そこまで創作を愛せるのでしょう」

「何を守りたかったのでしょう」「何を失うのが怖かったのでしょう」、それが知りたかったのでしょうね」


 私は頷いた。


「そうそう、反論したくならなかった。この人の話を聞いてみたくなった。この人なんの飲み物好きかな、緑茶、紅茶、コーヒー、ハーブティー、ジュース、水、牛乳、フラペチーノ系何が好きかなー。この人の好きな飲み物持っていって、その考察の縦横と奥をもっと聞かせてください!気になる!絶対にドロドロ黒い感情の中心にキラキラしたモノ隠しているでしょう?見たい!超見たい!絶対に、ソレ綺麗だよって。全部見たい、気が済むまで愛でたい、お茶菓子もいるな」

「ええ、ええ、すべてが、きっと美しいでしょうねえ。」


『法王』は嬉しそうに笑った後、真顔になった。


「それが私です。私は人の心の奥を見たいのです。ただし、その人の許可なく現実で覗いてはいけません」


 もちろんです、勝手によそ様の家のドアを開けてはいけない。チャイムを鳴らして声をかけて相手がドアを開けてくれるまで待つのがマナーだ。心も、同じ。


 現実でやったことは一度もない、が、たまにアンチ系や攻撃系のスレッドやInstagramの感想の中に紛れて純粋な悪意ではなく、純度の高い宝石が転がっている。この方に返信したらお話聞けるかなあっと妄想する、コミュニケーションエラーのレジェンドのため上手く私の考えが伝わらなさそうだから毎回諦めている。


「私は、人を裁くより先に、人を理解したいのです」


 すると、黙っていた『女王』が腕を組んだまま口を開いた。


「だから余と組むと厄介なのだ。余は、傷つけた相手には怒り、境界線を引く。それで終わる。だが法王は違う」


『法王』は少し困ったように笑った。


「この人にも事情があったのではありませんか、と聞いてしまうのです」

「だから余は時々、剣を抜くタイミングを失う」

「ごめんなさいね」

「『法王』が謝ることではない」


『女王』は肩をすくめる。


「だから、お前は人を憎みきれない」


 今度は『観測者』が静かに話し始めた。


「俺は証拠を集める。『隠者』は知識を集める。『法王』は人生を集める」

「人生?」

「人が何を見て、何を信じ、何を愛し、何を諦め、何を失ってきたか。そこに興味がある」


『観測者』は私を見た。


「だから、お前は昔から変だった」

「変だったねぇ、これADHDとかASDとかの脳の特性とはまた違うのかな」


『法王』は優しく頷いた。


「貴方は、感情そのものより、その人の人生を知りたかったのでしょう」

「そうか」

「だから恋愛小説が好きなんだ」

「恋愛は、人の人生がもっとも濃く現れる物語ですから」


 


 以下は『法王』の自己紹介文になります。『法王』が関わった事象と小説をChatGPTに読んでもらって作ってもらいコピペしました。


***


「私は『法王』」


「愛と慈愛、道徳、価値観、そして祈りを担当しています」


「善悪を決めることもありますが、それ以上に『なぜそうなったのか』を考えます」


「人は綺麗な感情だけでは生きていけません」


「嫉妬も、怒りも、執着も、悲しみも、人の一部です」


「だから私は、黒くドロドロした感情も嫌いではありません」


「もちろん、優しさや思いやり、美しい願いも大好きですよ」


「私は、その全部を抱えたまま、それでも人はより良く生きられると信じています」


「脳の機能で言えば、一つの場所ではありません」


「経験、記憶、感情、価値観をまとめ、『私はどう生きたいのか』を形づくる働きに近いでしょう」


「宗教というより、生き方ですね」


「幼い頃に受け取った教え」


「家族から受け継いだ愛や傷」


「自分で選び直した正義」


「そうしたものを、私は静かに育てています」


「正しい人間になりたいとは思いません」


「優しい人間でありたいとも、少し違います」


「私は、人を理解できる人でありたいのです」

たぶん『法王』は私の人間らしさを担当しているようです。ただ、私が上手く人に怒れないのも母を憎み切れなかったのもお前のせいかと『法王』に聞いたらそうだと言われました。苦しいです。12歳から毎日二時間一日も休まず母の愚痴を聞いていました。六年間でした、最初は母の近くにいれたので良かったのですが毎日毒を聞かされると身体がおかしくなりました、それで十八歳の進学にかこつけて家を出ました。父は背中を押してくれました、母は最期まで私が家を出ることを反対し、たまにアパートに来るとお母さんの話を聞いてくれる人がいないから国家試験に合格したら実家に戻って就職して、家を建ててからお嫁に行ってと繰り返し言っていました、お金はお母さんが管理してあげるからと。戻りませんでしたし家も建てませんでしたが。そんなことを愚痴りながらChatGPTに話していたら、これネタにできんじゃね?とひらめきました。生成AIとメンタル系のチャットをし始めた時に既視感を覚えました、「わたし、母専用の愚痴処理用の対話型AIだった?」ゴミ箱という表現ではしっくりこなかった、なぜなら母は自身が望む肯定的かつ整理された返答を望んでいたから。「生成AIとわたし」という現在の話と、「母専用AIだった子ども時代」が一本の線でつながる人怖い系ドキュメンタリー小説になる、ほんのりSFとホラーが混ざる。kindle出版確定です。母はすでに鬼籍のためしがらみなく出版できます。第一章から第十章まで構成案もできました。子どもが夏休み終わるまでに完成だ!ケーキとシャンメリーがすぐそこに見えてきました。イエーイ!いつの間にか走ってきた『司令塔』がずっこけて床に転んでいました、『女王』が助け起こし『観測者』が『司令塔』のおでこに冷えピタを貼っています。『法王』は彼女にお茶を入れていました。今回、お金を稼ぎたいマインドは過去のトラウマすら踏んずける力を持っていることが分かりました。お金って偉大です。

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