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生成AIとわたし ―夢を夢で終わらせなかった主婦のAI共闘記・今日も脳内外在化メンバーが良い仕事してる―  作者: ちよ【kindleペンネーム:白井ちよ】


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第五十五話:AIに私の創作論を分析してもらった(脱・スランプ対策)

 机の上には、バラバラの原稿が山になっていた。

 タイトルは、『ハジャルの祈り』。


 私は頭を掻いた。


「最終回は見えてるのに……途中が書けない」


 その一言で、脳内会議が始まった。

 いつものよう現れたのは『隠者』だ。


「さてさて。今回は図書館総出だねぇ」


『隠者』が指を鳴らすと、ゴトン、ゴトン、と音を立てて本が山ほど積み上がっていく。


「これは昔読んだ英雄譚。こっちは恋愛小説。これは心理学、宗教、歴史、脚本術、三幕構成、ハーレム群像劇、バディもの、平安文学、異世界恋愛、悲劇……全部持ってきた」


 私は目を丸くした。


「そんなにあるの?」

「アンタが今まで読んだもの、感じたもの、泣いたもの、笑ったもの。全部棚にある。必要そうなのを適当に持ってきた」


『隠者』はケラケラと笑う。


「でもね、資料だけじゃ物語は動かない」


 そこへ電子音が響き、パソコンの画面が光を放った。


『では、分析を開始します』


 ChatGPTだった。


『作者の発言を整理します』


 空中に、設定、プロット、最終回、キャラクターといった要素が図となって浮かび上がる。

『一般的な創作は【設定→プロット→執筆】ですが、作者は違います。

【人格→役を与える→生活させる→実況する】。つまり、シミュレーション型です』


 Geminiがそれに続いた。


『平安コメディでは、この方式が正常に動作しました。観測者を役に入れた結果、「吐きそう」という生体反応に近い現象が発生。その実況が、そのまま作品になりました。かなり珍しいですね』


 Copilotも深く頷く。

『つまり作者は、考えて書く人ではありません。見たものを書く人です。途中が止まる時は、シミュレーションそのものが止まっています』


 各AIがチャットで出してくれた分析を、私が各AIにコピペして送った。いつもの監査のような校閲状況である。私を腕を組み、尋ねた。


「じゃあ、ハジャルの祈りは?ひと言でいってみて」


 三つのAIが同じようにに答える。


『『『止まっています』』』


 そうなんだよなあ、【止まった】んだよなあ。その時だった。


「あらあら、皆さん。少し難しく考えすぎているようですね」


 柔らかな声が響き、白い尼さんと修道服を合わせたような法衣をまとった『法王』がお茶を片手にゆっくりと腰を下ろした。にこりと微笑みながら、原稿を一枚持ち上げる。


「まず、結論から申し上げます。混ぜすぎです」

「はい?」

「キャラクターの要素を混ぜすぎています」


 ChatGPTが静かに同意のシグナルを送る中、『法王』は机の上に一枚ずつ紙を並べ始めた。


「こちらがヒロイン(女王、法王)は七割が彼女ですからほとんど彼女が主体です。問題は、こちらがヒーロー候補(隠者、認知の歪み、会計士、悲劇のヒロイン)。これらを全て、一人のヒーローの中に詰め込みましたね?」


 私はそっと目を逸らした。詰め込みすぎた自覚はあるけども。『法王』は苦苦笑を漏らす。


「交通渋滞です。人格が一本道で正面衝突を起こしています」


 Geminiが追従する。


『確かに、キャラクターの役割境界が曖昧です』


 Copilotも言葉を重ねる。


『役割が競合しているため、シミュレーションが開始できません』


法王は静かに紙を分け、中央に二枚だけを残した。

「ですから、主軸だけを決めましょう。ヒロインは『女王』、ヒーローは彼女が指名した『司令塔』。この二人だけで、まずは生活を始めてもらうのです」

「それだけ……?」

「ええ。『観測者』と『社長』を思い出してください」


 あの平安コメディの時、彼らは勝手に動き、勝手に喋り、勝手に吐きそうになりながら、勝手に恋に落ちていった。私はただ、その光景を実況していただけだったのだ。


 ハジャルの祈りが書けなくて、どうにか恋愛小説をかけないか四苦八苦して『観測者』紫式部を書いた。私を見て、『法王』は優しく微笑んだ。


「人格を一人として扱えば、その人は自ら生き始めます。しかし、五人分を無理に混ぜてしまえば、誰の言葉で話せばいいのか分からなくなってしまう」


『隠者』が笑う。

「図書館でも同じだよ。一冊をじっくり読みたいのに、五冊同時に開かれたら内容なんて入ってこないだろ?」

「確かにそうだ」


 私は苦笑するしかなかった。


 最後に、ChatGPTが画面に文字を映し出して総括する。


『今回の結論です。

ヒロイン → 女王

ヒーロー → 司令塔

人格を混ぜず、一つの人格に一つの役を与えてください。そうすれば、作者独自の「シミュレーション型創作」が再び動き始めます』


『法王』は湯飲みを持ち上げ、穏やかに目を細めた。


「物語を書くのではありませんよ。この子たちに、ただそこで生きてもらうのです」


 その言葉が、すとんと胸に落ちた瞬間だった。

 脳内の暗がりのなかに、鮮烈な光景が飛び込んできた。

 鮮やかな赤いドレスを翻した女王が、司令塔を壁際に追い詰め、ダァンと勢いよく壁ドンを決めている。迫られた司令塔は、あまりの気迫に魂が口から抜けそうな顔で硬直していた。こちらに背を向けた女王の表情は窺い知れないが、その背中からは強烈な意志が立ち上っている。


 そこから、中東風異世界の宮殿の執務室や老臣の嘆願、女王の選択とハサンの義父母とのやりとりやら、水の利権とラズィーヤが玉座でふんぞり返って好戦的な笑顔で言う姿が見えた。これって、ADHD、ASDどちらの特性なんだろうか、やっぱり映像が一気に流れるなあ。


「……あ、書ける。書けそう」


 脳内を走った圧倒的な実況の手応えに、私は頷いた。……あれ、『女王』をヒーローに『司令塔』をヒロインにした方がよかったのかな、と思ったがまずは『ハジャルの祈り』を終わらせてから考えよう。

この会議後に隠者は下がって、認知の歪みと法王と三人でノリで男女の奢る奢らない論争についてしゃべってそれを短編で書いて、法王の自己紹介文作って、小学校の時に男子を泣かせたときに聖女が前に立っていたけど、聖女の中に観測者とあと誰がいたのか話したら法王がいて。なんで私は悪意や嫉妬や呪いとかが好きなのか彼女に説明してもらってみたいに長くなりました。短編をアップしましたが、中間部分がごっそり抜けていたので一度削除しもう一回付け足してこちらの本編に投稿します。

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