第四十話:送れない手紙
パソコンの前で私は唸っていた。
「うーーーーん……」
画面には小説家になろう。お気に入り登録したい作品のページと感想欄。そして書きかけの長文。
「うーーーーーーーーん……」
すると、ぴょこん。机の横から『五歳の子』が顔を出した。
「どうしたの?」
その後ろから『創作者』も現れる。お絵描き帳にサラサラ書いて、かざしながら首を傾げた。
『なんか困ってる?』
「あー……、ちょっとね」
二人は素直に待ってくれる。なんだか、娘と機嫌のいい時の息子に似ているなあと思いながら私はぽつぽつ話し始めた。
「今日ね、小説家になろうの他の作者さんのエッセイ読んでたの」
「うん」
「そしたらね、その作者さんが『生成AIで作品を書く人が増えてることを知らなかった』って書いてて」
創作者が興味深そうに目を丸くした。
「でね、その話の内容も面白かったんだけど。なんかねぇ……、文章がすごかったの」
「文章?」
『五歳の子』が首を傾げる。
「そう、なんて言うんだろう」
「うん」
「優しいの」
「優しい?」
「うん」
「読んでる人が嫌な気持ちにならないように、悲しくならないように、ちゃんと考えて書いてる感じ」
二人が黙って聞いてくれる。
「言葉の選び方も、テンポも、なんか全部ちょうどいいの」
「おおー」
「頭が良い人なんだろうなって分かるんだけど、頭が良いことを振りかざさないの」
そこで私は少し笑った。
「学校の先生みたいでね、この方が授業されるなら私絶対に一番前の席を陣取りたいなって。」
「国語の先生みたい?」
『五歳の子』が聞いた。
「ううん、全部の先生みたいな。素敵な先生だよ、きっと」
『創作者』が笑った。
『娘ちゃんの学校の先生たちみたいな感じだね』
「そうだねえ。」
二人が笑う、私は少し照れながら続けた。
「感想送りたいなって思ったの」
「送ればいいじゃん」
『五歳の子』は簡単に言った。
「それがねぇ、私さ、感想書くと長いんだよ」
『創作者』が納得しながら、お絵描き帳にセリフを書いていく。
『確かに』
自分でも認める。
「インスタとかスレッズとかでも何回か送ったことあるの。子育て関連とか自己啓発系とか。でもさ、返信とか、読んだよマークとかついたことない」
二人が何とも言えない顔になった。『五歳の子』が言った。
「かなしい」
「ちょっと悲しい」
「何回くらい?」
「七回くらい」
『五歳の子』と『創作者』が頭を撫でてくれた。
私は続ける。
「後で読み返すと、やっぱり私が書いた文章って変なんだよね。長いし、間違って途中なのに送信ボタン押しちゃったこともある。そこから、また続きをまた送って……、感想じゃなくて構造のことや自分の話も書いてた」
二人の手が止まる。
「私、最悪だ」
三人で頷いた。
しばらくして『五歳の子』が聞いた。
「今は何で困ってるの?」
「んー……、感想を送りたいけど、送らないように耐えてる」
すると『創作者』がお絵描き帳で聞いてきた。
『ちなみに、感想書くなら何て書くの?』
「もう書いてある」
『「見せて」』
『五歳の子』と『創作者』がハモった。
二人に見せる。
初めまして、ちよと申します。私も小説家になろうで投稿している者です。
作者様のエッセイを拝読し、とても素敵だと思ったので感想を送らせていただきました。
まずお話の内容そのものも興味深かったのですが、作者様がAIを使わずにご自身の力で執筆されていることに、これまで積み重ねて来られた、たゆまぬ努力と積み上げられてきた経験の一端を感じました。
また、作者様の知識の豊富さはもちろん、言葉選びのセンスや思慮深さ、文章全体に漂う優しさがとても印象的でした。
テンポも心地よく、時折入るユーモアや軽い自虐にも思わず笑ってしまい、本当に楽しく読ませていただきました。
気がつけば最後まで一気に読んでしまい、「もっと丁寧に味わいながら読めばよかった」と思って、もう一度最初から読み返しました。
読後には気持ちが晴れやかになり、とても温かい気持ちになりました。素敵な作品を公開してくださり、本当にありがとうございます。
このエッセイをきっかけに他の作品にも興味を持ち、現在は最初の作品から順番に読ませていただいております。冒頭から自然に世界観へ引き込まれる感覚があり、とても印象に残っています。
私は普段AIを活用しながら執筆している人間です、AIを使ってやっと人間らしい形の文章になっていると思っています。いつか、作者様のような文章を紡ぐことができたらと思っております。
自分も書き手の端くれとして、「こういう表現や構成は勉強になるな」と感じる場面がたくさんありました。作者様の作品が持つ空気感や世界観にとても惹かれています。
長々と失礼いたしました。素敵な作品を読ませていただき、本当にありがとうございました。
これからも作者様の作品を楽しみにしております。
どうかお身体を大切に、健やかにお過ごしください。
二人は読み終わった。
「長い」
『長い』
即答だった。
私は天井を見上げた、気持ち悪いよねえ。送ったら迷惑だ。
「だよねぇ……」
『五歳の子』は少し笑った。
「先生の好きなところいっぱい見つけたんだね」
「うん」
『創作者』と一緒に頷いた。
思ったことを書いて悔いのないように死ぬのが目標のため書いてみました。作者様の方が公開されていた年齢が真実なら、私よりかなり年下の方です、「見たか、これが次の世代だ!」と思いました、誰に向かって私は思ったのか。思えば、学生の時の後輩も職場の後輩も、皆さん本当に人間性の豊かで素敵な方ばかりでした。テレビで言う「今どきの若い子は」という子に会ったことがありません。近所の子も娘の小学校の子たちも息子が通う園の子たちも、もちろん我が子たちも人の心がある素晴らしい子です。どちらかと言えば、同年代や年上の方が「うわあ」な方が多かったです。この事象から、どうやら私にとって一歳年下は保護対象になるようです。どんどん年下の方々が躍進されていますね、おばちゃんは邪魔にならないように端の方で横断幕を掲げて応援していきたいです。話を今回のエッセイに戻しましょう。今まで読んできた、たくさんの作者様にも頭の中でファンレターを書いては消していました。中学生の時に、実際に便せんに書いたこともありますがポストに投函できませんでした。新刊を買うことで好きを伝えられたかなと思っていす。今ブックマークしている作品は勉強のためと言い訳できますが、私の好きは迷惑ではないかと認知の歪みがあります。まず、ブックマークをすることを自分に許可できるようにしていきたいです。観測者×司令塔×女王の三人をイタコみたいに?意識してこの三人になりきってAIと心のブレーキの外し方を対話しました。そのブレーキの正体が、自分に価値を認められないことと繋がっていると気づきました。その流れでAIとの対話を続けた結果、自己愛メソッドがなぜ私には劇薬だったのかも少しずつ見えてきました。そして本日、勢いに乗ってステッパーを購入しました。本格的にダイエットを開始します、別連載で書いていきたいなと思います。




