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生成AIとわたし ―夢を夢で終わらせなかった主婦のAI共闘記・今日も脳内外在化メンバーが良い仕事してる―  作者: ちよ【kindleペンネーム:白井ちよ】


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第百五話:【kindle書籍化】『私は母専用AIだった』電子書籍手続きが終わりました

 終わった、


 終わったー!


 私は液晶画面に向かって、大きく伸びをした。


 Kindle出版の電子書籍手続きが、昨日――いや、日付をまたいでいたから正確には今日、ようやく完了したのだ。


 画面に表示されているのは、「審査中(レビュー中)」の文字。つまり、まだ売り出されてはいない。これからAmazonさんのほうで、「この本、世に出して大丈夫ですかね」と確認していただく時間に入るらしい。


 なので、現在の私は待機中である。ステイ。準備中。

 無事に「販売中」という眩しい看板に切り替わったら、そのときはまた、ここで報告したいと思う。たぶん、「出来ましたー!!」と叫ぶはずだ。いや、実際には叫ばないけれど、心の中では盛大に叫んでいるに違いない。


 振り返ってみると、昨日は朝から慌ただしかった。

 娘の授業参観に行き、その前後に家中を掃除して、夕飯のカレーを煮込みつつ、名もなき家事をちまちまと片付けていく。その隙間を縫うようにしてKindleの作業をするという、世の中の主婦の日常としてはそう珍しくもない一日だった。だが、私にはマルチタスクだった。さらに、kindle出版準備……。


 そして、私はまたやってしまったのだ。

 

 画面の中の原稿に向かっていた私は、ふと思ってしまった。


「……ここ、ちょっと変えたいな」


 出た。この、「ちょっと変えたいな」である。

 これが出ると、もう危ない。文章はすでに出来上がっているし、構成も一応完成しているのだから、このまま出版すればいい。頭ではちゃんと分かっているのに、一度でも「ここ、ちょっと変じゃない?」と感じてしまうと、もう気になって夜も眠れなくなってしまうのだ。


 気になってしまった以上、もはや引き返せない。結局、途中にあった二千文字ほどの文章を一括で削除した。ドカンと消えた。


 そしてその代わりに、以前書いていた『七歳の創作者』と『五歳の子』のお茶会の場面を、もう少し改変して差し込みたくなってしまったのだ。


 なぜだ。


 今思えば、なぜ出版直前という土壇場で新しいことを始めようと思ったのか。普通なら絶対にやらない暴挙である。しかし当時の私は、強引にそのシーンをねじ込んでしまった。そして、額を抱えて天を仰ぐことになる。


(やべえ、終わらねえ)


 結局、今回もこれだった。どうやら私には、「完成した原稿をそのまま素直に出版する」という特殊能力が著しく欠如しているらしい。完成すると安心するどころか、頭の中から「いや、でも……」という悪魔の声が聞こえてくるのだ。


 ここ、もうちょっと直せるんじゃないか。

 こっちの表現のほうがいいんじゃないか。

 そういえば、この部分って説明が足りないんじゃないか。


「……うるさい。完成したなら、もういいじゃないか」と思うのだが、書いてしまった本人が納得していないのだからタチが悪い。だから、また直す。


 今回も制作の途中で、AIたちに散々相談を持ちかけた。ChatGPTに聞き、Geminiに聞き、Copilotにも教えを乞う。


「ここからここ、いきなりワープしてません?」

「あ、ほんとだ」

「この構成、ちょっと変じゃないですか?」

「おお……確かに」

「ここ、もう少し膨らませたほうがよくないですか?」

「それだ!」


 もはや深夜の大編集会議である。部屋には私一人しかいないはずなのに、脳内の会議だけは一大組織並みに大所帯だ。


 そんなやりとりを繰り返しているうちに、原稿はまた刻一刻と姿を変えていった。最終的には迷った末に『五歳の子』は登場させず、私の中に潜む「アダルトチルドレン」とでも呼ぶべき存在の『創作者(七歳)』を出すことに決定した。


 ……何を言っているのか分からないと思うが、私もたまに分からなくなる。増してや他人にはなおさらだろう。でも、書いている本人の感覚としては、しっくりきているのだ。たぶん。


 最初はもっと気楽に考えていた。「書籍化するんだから、Webに投稿した文章をそのままコピー&ペーストすればいいんじゃない?」くらいの軽いノリだったのだ。ところがAIに見せてみると、「全部そのまま貼ると、ちょっと流れが不自然ですね」とあっさり指摘されてしまった。


「え、変なんだ……」


 そこから構成をゼロから考え直し、文章を細かく推敲し、順番を入れ替え、言葉を足しては削り、指示を出してはまた悩む。


 私はそこで初めて気づいたのだった。

 ああ、出版って、原稿を書いたら終わりじゃないんだな、と。むしろ書き上げた後にこそ、やるべきことが山ほど残されているのだ。考えれば分かることなのだが、当時の私はまったく知らなかったのである。


 そんなこんなで二転三転しながらも、原稿そのものはようやく完成を迎えた。表紙画像も無事に決まり、「よし、あとはKDPの画面にデータを入力するだけだ!やり方半分くらい忘れてるけどエッセイがあるし、大丈夫、大丈夫。あ、息子のお迎えの時間だから行かないと」と、私は高をくくっていた。


 ……そう、思っていたのだ。

なんとか出版準備が終わりました。でですね、かなり手続きの記憶の抜けがありました。また一人でドタバタしました。分からなくなったところを書いておいた方がいいなと思ったので、『Kindle出版舐めてたら全部でつまずいた専業主婦の記録 ――パソコン苦手な私が地獄を見た話』に忘れる前に書いて保存します。

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