物語の終わりに流れる歌
『雨の匂いが消えるまで』が公開から1か月で100万回を越えた頃、隼人の生活そのものは驚くほど変わっていなかった。Nagiへの提供をきっかけに新しい依頼は増えていたが、大学の講義や友人との時間を削ってまで仕事を増やすつもりはなく、受ける案件は慎重に選び続けている。
そんな中で届いたテレビアニメ『灰色の庭で眠る鳥』のエンディングテーマ制作依頼は、報酬や知名度とは別の理由で隼人の興味を引いていた。
長い戦争が終わったあとの小国を舞台に、故郷へ戻った若い兵士が荒れ果てた庭園を修復していく物語。戦争そのものを描くのではなく、終わったあとに残された人々が、それぞれの傷を抱えながら日常へ戻ろうとする姿が中心になる。
企画資料を読み終えた翌日、隼人は先方へ返信し、正式に依頼を受けるか判断する前に作品について詳しく話したいと伝えた。
数日後、オンラインで最初の打ち合わせが設定された。
参加するのは音楽制作会社の担当者とアニメの監督、それからLentoとして参加する隼人。今回も映像は使用せず、音声だけで話すことについては事前に了承を得ている。
『本日はありがとうございます。改めまして、音楽制作を担当しております高瀬です』
「Lentoです。よろしくお願いします」
『監督の久世です。今日はよろしくお願いします』
「よろしくお願いします。企画資料、かなり面白かったです」
社交辞令ではない。
隼人は打ち合わせまでに資料を3回読み返していた。
原作の抜粋やキャラクター設定も追加で共有され、最初に読んだ時より物語への理解は深まっている。それでも、自分の中だけで曲の方向を決める前に確認しておきたいことがあった。
「最初に1つ聞いていいですか?」
『もちろんです』
「この作品のエンディングに、どういう役割を求めていますか?」
少しだけ間が空いた。
答えたのは監督だった。
『毎話の物語を、綺麗に終わらせてほしくないんです』
「終わらせない?」
『はい。本編が終わってエンディングへ入ると、普通はそこで1話分の物語が締まりますよね。でも今回は、画面が暗くなったあとも登場人物たちの生活が続いているような感覚を残したいんです』
隼人は手元のノートへ言葉を書きながら聞く。
『主人公が少し笑えた回でも、それで戦争の記憶が消えるわけではありません。逆に辛い出来事があった回でも、その瞬間に人生が止まるわけではない。次の日には朝が来て、食事をして、庭へ出て、また土を触るんです』
「なるほど」
『だから、希望を強く歌いすぎる曲も違うと思っています。未来へ進もうとか、全部乗り越えようとか、そういう結論を毎週与えたくありません』
隼人は小さく頷いた。
かなり好きな考え方だった。
「それなら、俺に声を掛けてもらった理由も聞いていいですか?」
『『余白の先へ』です』
答えは早かった。
『もちろん他の曲も聞いています。ただ、今回一番大きかったのは『余白の先へ』でした。何かが終わったあと、すぐ次へ進まなくてもいいという感覚が、この作品とかなり近かったので』
「そこを見てもらえたなら嬉しいです」
再生回数が最も大きい曲だけを見て依頼されたわけではない。
作品に必要なものを探した結果として、自分の曲へ辿り着いている。
それなら、隼人も作品へ合わせて本気で考えられる。
「分かりました。受けたいです」
『ありがとうございます』
「ただ、1つだけ。『余白の先へ』と同じ曲にはしません」
『もちろんです』
「考え方が近くても、この作品にはこの作品の歌が必要だと思うので」
そこだけは最初に伝えておきたかった。
成功した曲の焼き直しをするつもりはない。
今回は『灰色の庭で眠る鳥』という物語があって、そのために歌を作る。
◇ ◇ ◇
正式な契約についての話は、音楽制作会社側と別途進めることになった。
隼人は大学生であることも本名も公表していないが、契約相手にまで身元を隠すわけにはいかない。必要な担当者には本人確認を行い、守秘義務を含めた条件を確認したうえで契約を結ぶ。
匿名で活動することと、社会的な責任まで匿名にすることは違う。
高校時代より扱う金額も大きくなり、企業と仕事をする機会も増えている以上、この辺りはむしろ慎重にしていた。
契約がまとまった夜、隼人は制作ノートを開いた。
【テレビアニメ『灰色の庭で眠る鳥』】
【エンディングテーマ。】
【毎話を終わらせすぎない。】
【希望を押しつけない。傷が残ったままでも生活は続く。】
ここまでは、打ち合わせで確認した内容だ。
問題は、どんな曲にするかだった。
自分だけで最初から書く方法もある。
Nagiへ『雨の匂いが消えるまで』を書いた経験もあり、ダイスを使わなければ曲を作れないという感覚は既にない。
それでも今回は、運命のダイスを使ってみたいと思った。
作品を読んだ時から、何となく引っ掛かっている。
今まで取得していない数字の中に、この物語へ合う曲があるような気がしていた。
隼人はシステムを呼び出す。
【運命のダイス】
高校時代から残している楽曲もある。
新しい抽選権も、360日の経過に合わせて追加されていた。
隼人は新しい10回を選択する。
「お願いします」
数字が次々と確定する。
【運命のダイス・抽選結果】
【〈35〉〈67〉〈11〉〈78〉〈42〉〈56〉〈88〉〈23〉〈74〉〈30〉】
「88か……」
今回も高い数字が混じっている。
〈88〉なら、基準上は8,800万人規模へ届く可能性を持つ楽曲になる。
以前なら、その数字を最初に確認したかもしれない。
しかし隼人の視線は、もっと小さな数字で止まっていた。
〈35〉。
「こっちだな」
理由を説明できるわけではない。
ただ、『灰色の庭で眠る鳥』の資料を読んだあとから考えていたものに、妙に近い気がした。
「〈35〉の情報を確認する」
【〈35〉】
【基準到達可能性――3,500万人規模】
【楽曲情報を確認しますか?】
「確認する」
まだ取得はしない。
まず内容だけを見る。
情報が開いた瞬間、最初に感じたのは静かなピアノだった。
低い音から始まり、必要以上に感情を煽らず、ゆっくりと旋律が進んでいく。その後ろへ薄い弦楽器が重なり、曲が進むにつれて空間だけが少しずつ広がっていく。
派手なドラムはない。
ギターも前へ出ない。
音数そのものは少ないのに、空白にはならない。
そして歌の中心にあるものを理解した時、隼人は椅子へ深く背中を預けた。
「……合いすぎだろ」
戻らない時間。
取り戻せない季節。
失ったものを忘れろとは言わない。
過去を捨てて未来へ進めとも言わない。
戻らないことを知ったうえで、それでも今日を生きる人間の歌だった。
戦争前の故郷には戻れない。
亡くなった人は帰ってこない。
荒れた庭を元通りにしても、そこで過ごした昔の時間まで戻るわけではない。
それでも、新しい花を植えることはできる。
明日の朝に水をやることもできる。
その程度の希望だけが、曲の底に残っている。
「これなら作品に置ける」
隼人は迷わなかった。
「〈35〉を取得する」
【〈35〉を取得します】
【楽曲情報を取得しました】
旋律だけではなく、ピアノや弦楽器の配置、歌唱時の感情、低音を支える楽器の役割まで、完成へ至るための情報が一度に鮮明になる。
それでも隼人は、すぐ制作ソフトを開かなかった。
先にノートへ書く。
【失ったものを取り戻す歌ではない。】
【過去を捨てる歌でもない。】
【戻らないものを抱えたまま、今日の生活へ戻る。】
3つの文章を読み返す。
この曲は、作品だけではなく自分にも重なる。
◇ ◇ ◇
35歳まで生きた最初の人生は、今の世界には存在していない時間でもある。
美智子は生きている。
父も元気だ。
拓海とのバンドも、今の人生では結成していない。
会社員だった自分も、現在の世界にはまだ存在していない。
だからといって、隼人の中からその時間が消えたわけではなかった。
母を失った日のことも覚えている。
バンドが終わった夜も覚えている。
夢を諦め、会社員として生きることを選んだ時の感覚も残っている。
15歳へ戻ったから、全部やり直せた。
そう言えば簡単だ。
しかし隼人自身は、最近その表現に少し違和感を覚えるようになっていた。
「やり直したっていうより、続いてるんだよな」
最初の人生が失敗作で、今の人生が正解というわけではない。
35歳まで生きた自分がいたから、今の選択がある。
前の時間を消して新しく始めたのではなく、記憶だけを持って別の場所から続きを生きている。
その感覚なら、この曲にも使える。
ただし、自分の人生だけを歌いすぎてはいけない。
今回はアニメのエンディングだ。
主人公たちの物語へ重ねられる余白を残す必要がある。
隼人は再び〈35〉の構成を確認した。
そして、曲名を考える。
最初に浮かんだ言葉は、驚くほど単純だった。
「帰らない季節……」
戦争前の日々。
失った人と過ごした時間。
もう戻れない故郷。
それらを1つの季節として扱う。
同時に、聞く人自身の過去にも重ねられる。
隼人はノートへ書いた。
【〈35〉『帰らない季節』】
少し眺めてから、頷いた。
「これでいこう」
◇ ◇ ◇
翌週、隼人はまだ完成していない段階で、作品側へ曲の方向性を共有した。
戻らない時間を無理に取り戻そうとしないこと。
失ったものを乗り越えたと簡単に言わないこと。
傷が残った状態でも、人は食事をし、眠り、次の日を生きること。
その生活の方を歌いたいと説明した。
監督からの返答は早かった。
『方向性は非常に近いです。ただ、1つだけお願いがあります』
「何でしょう?」
『希望を強くしすぎないでください』
「分かりました」
『最終話でも主人公の傷は完全には消えません。庭は以前と同じ姿には戻りませんし、失った家族の代わりになる人物も登場させません』
「その方が俺も好きです」
隼人は素直に答えた。
『それでも大丈夫ですか?』
「むしろ、最後に全部治るなら曲を変えないといけないと思ってました」
監督が少し笑う。
『安心しました』
「ただ、救いが全くない曲にもしません。生きてる以上、次の日は来るので」
『それくらいがいいです』
方向が固まった。
ここから先は、実際の制作になる。
◇ ◇ ◇
大学では、前期試験や提出課題の話が増え始めていた。
隼人は『帰らない季節』の締め切りを作品側と相談し、試験期間に本格的な録音を重ねなくて済むよう日程を調整した。アニメ側も早い段階から依頼しているため余裕があり、無理に大学生活を削る必要はない。
講義の空き時間には課題を進める。
帰宅して余裕がある日は、1時間ほど曲へ触る。
休日も制作だけで終わらせず、友人との予定があれば普通に出掛ける。
企業案件だからといって、そのルールは変えなかった。
ある日の昼休み、大学の友人が隼人のイヤホンを指さした。
「また曲作ってんの?」
「作ってるよ」
「この前のやつとは別?」
「別」
「結構作るな。聞かせてくれよ」
「完成したらな」
「毎回それ言うじゃん」
「完成前の曲、人に聞かせるの好きじゃないんだよ」
嘘ではない。
ただ、完成したあとに友人がテレビから偶然聞く可能性はある。
その時に自分がどう反応するのかを想像すると、少し面白かった。
「立花って、そのうちネットに上げたりしないの?」
「上げるかもな」
「そしたら教えて」
「気が向いたら」
「絶対教える気ないだろ」
隼人は笑って誤魔化した。
大学では普通の学生でいたい。
その考えは今も変わっていない。
◇ ◇ ◇
前期試験を終えたあと、隼人は本格的なボーカル録音へ入った。
『帰らない季節』は、音域だけを見れば極端に難しい曲ではない。
それでも歌うのは難しかった。
悲しくしすぎれば、喪失だけの歌になる。
前向きにしすぎれば、作品側が求めているものから離れる。
感情を抑えすぎれば、何も残らない。
最初のテイクを録音し、最初から聞き返す。
音程は安定している。
声も綺麗に出ている。
それでも、1番の途中で隼人は再生を止めた。
「違うな。これだと全部分かってる人だ」
過去を整理し終えた人間が、昔を振り返って歌っているように聞こえる。
この曲の中にいる人間は、まだそこまで辿り着いていない。
傷は残っている。
それでも朝になれば起きる。
飯を食べる。
働く。
誰かと話す。
時には笑う。
それは傷が治ったからではない。
生活が続いているからだ。
隼人はヘッドホンを外し、しばらく椅子へ座った。
最初の人生で母を失ったあとの自分を思い出す。
悲しみ続けて何もできなくなったわけではない。
会社へ行った。
仕事をした。
酒も飲んだ。
同僚と笑ったこともある。
それでも、ふとした瞬間に母がもういないことを思い出した。
生活が続くことと、喪失が消えることは同じではなかった。
今の世界では、美智子は生きている。
昨日も普通に話した。
それでも、あの時に感じたものは隼人の中へ残っている。
「……これも俺の時間だよな」
忘れる必要はない。
なかったことにする必要もない。
隼人は再びマイクの前へ立った。
2回目は、感情を作らなかった。
悲しく聞かせようとしない。
希望を感じさせようともしない。
ただ、戻らないものがあると知っている人間として歌う。
最後まで歌い切ったあと、すぐには聞き返さなかった。
水を飲み、少し休む。
それから再生する。
1回目より僅かに声が揺れている場所がある。
呼吸も完全には揃っていない。
しかし、最後まで聞いた時に残るものはこちらの方がずっと近かった。
「2回目だな」
隼人は録音データへ印を付けた。
◇ ◇ ◇
数日後、仮ミックスを作品側へ送った。
監督から届いた感想には、大きな修正要求はなかった。
【歌唱の方向はこのままでお願いします。特に最後のサビで感情を大きくしすぎていないところが、作品の終わり方と合っています。】
ただし、映像作品ならではの調整は必要だった。
本編最後の台詞からエンディングへ移るまでの間。
クレジットが表示される場所。
映像の切り替わり。
曲単体では気持ちよく聞こえても、映像と重ねると少し早く感じる部分もある。
隼人は仮の絵コンテを確認しながら、イントロの長さや最初のピアノの置き方を微調整した。
「自分の曲なら考えないところだな」
制約がある。
それでも窮屈には感じなかった。
むしろ、決められた時間の中でどう余韻を作るかを考えるのが面白い。
星乃ミナやNagiへ曲を書いた時には、歌う人間が中心だった。
今回は違う。
物語そのものが中心にある。
Lentoの歌は、その隣へ置かれる。
◇ ◇ ◇
8月の終わりには、『帰らない季節』の最終版が完成した。
隼人は完成音源を1度だけ最初から最後まで聞き、そのあと制作ノートを開いた。
【〈35〉『帰らない季節』】
【テレビアニメ『灰色の庭で眠る鳥』エンディングテーマ。】
【歌唱――Lento。】
【基準到達可能性――3,500万人規模。】
【作品を終わらせるためではなく、その先にも登場人物の生活が続いていると感じられる歌にする。】
高校時代にLentoを始めた頃、自分の曲がテレビアニメのエンディングに使われる未来など想像していなかった。
それでも、今の隼人は浮かれすぎてはいない。
嬉しくないわけではない。
むしろ放送はかなり楽しみだった。
ただ、この仕事が決まったから大学を辞めようとも思わないし、これをきっかけにアニメ音楽だけへ活動を絞ろうとも思わない。
1曲作った。
良い経験だった。
次は、次の時に考えればいい。
◇ ◇ ◇
そして秋。
『灰色の庭で眠る鳥』の第1話が放送される夜、隼人は自宅のリビングにいた。
美智子と父も一緒だった。
「これが隼人の歌のアニメ?」
「そう」
「何時頃流れるの?」
「エンディングだから最後だよ。曲だけ待つんじゃなくて本編も見てくれ」
「見るわよ。内容知らないと曲も分からないでしょう」
「母さん、意外とちゃんとしてるな」
「どういう意味?」
隼人は笑いながらテレビへ視線を戻した。
第1話が始まる。
戦争から帰還した主人公が、久しぶりに故郷へ戻ってくる。
かつて家族と暮らしていた家は残っている。
しかし庭は荒れていた。
柵は一部が壊れ、植物は伸び放題になり、昔の面影はほとんどない。
主人公は庭へ立つ。
長い台詞はない。
足元に落ちていた古い園芸道具を拾い、付着した土を指で払う。
そこで本編が終わった。
一瞬だけ静かになる。
そして、ピアノが流れた。
隼人の声が入る。
「……やっぱ変な感じだな」
「何が?」
「テレビアニメのエンディングから自分の声が流れてる」
「でも、いい声じゃない」
「本人の前で言われると恥ずかしいな」
父が隣で小さく笑っている。
画面では、荒れた庭の時間が季節と一緒に進んでいく。
春の雨。
夏の強い光。
落ち葉の積もる秋。
薄く雪の残る冬。
それでも、庭が昔と同じ姿へ戻る場面はない。
最後の数秒。
土の間から、小さな新芽が出ている。
そこで曲が終わった。
隼人は何も言わず、しばらく画面を見ていた。
「これ、曲だけ聞いた時より好きかも」
美智子が先に言った。
「俺もそう思う」
「自分で作ったのに?」
「俺が作ったのは曲だからな。映像は別の人が作ってる」
曲を渡したことで、自分の知らなかった意味が加わっている。
それが面白かった。
◇ ◇ ◇
放送が終わると、ネットにはすぐ感想が増え始めた。
隼人も数件だけ確認する。
【ED、Lentoなのか。】
【『余白の先へ』好きだったから、この作品にLento連れてきた人分かってる。】
【主人公を無理に前向きにさせない曲なのいいな。】
【『帰らない季節』って、戦争前の生活にはもう戻れないって意味にも聞こえる。】
【最後に新芽出るけど、庭そのものは元通りじゃないの好き。】
まだ第1話だ。
この先、物語が進めば同じ歌の聞こえ方も変わっていく。
自分のチャンネルへ曲を投稿した時とは、そこが大きく違う。
公開した瞬間に完成するのではなく、毎週の物語によって曲の意味が少しずつ積み重なっていく。
「アニメの曲って、こういうところ面白いな」
隼人はスマートフォンを置いた。
翌日は朝から大学だ。
テレビから自分の歌が流れた夜でも、生活は変わらない。
電車へ乗り、講義を受け、友人と昼食を食べる。
Lentoとして新しい仕事を経験しても、そのたびに人生の中心まで音楽へ移す必要はない。
むしろ普通の生活が続いているからこそ、歌へ戻った時に使える感情や景色が増えていく。
隼人は翌日の講義に必要なものを確認してから、自室へ戻った。
机の上には制作ノートが置かれている。
そこには高校時代の3曲から始まり、『リンクライト』、星乃ミナへ渡した『また明日』、Nagiへ渡した『雨の匂いが消えるまで』、そして今日初めてテレビから流れた『帰らない季節』まで、それぞれ違う形で生まれた曲が記録されている。
Lentoという名前だけが、少しずつ自分の知らない場所まで歩き始めている。
それでも立花隼人自身は、明日の朝になれば普通の大学生として家を出る。その2つを無理に1つへまとめず、必要な時だけ音楽へ戻る今の暮らしを、隼人は以前よりずっと気に入っていた。




