第二幕:王子夫妻の衝撃
白騎士様が国外追放となってから、五日が過ぎた。
そんなある日、私は王子夫妻からお茶会に招かれた。
王子殿下は、どこか言いづらそうに口を開いた。
「……実はね、エレオノーラ」
「はい。なんでしょうか?」
「……僕も下着の色は別に白くないんだよね……」
「……別にそれを彼女に伝える必要性がどこに……」
隣に座る王子妃殿下が、呆れたようにつぶやいた。
「……な……ん……だと……?」
思わず、私は立ち上がった。
王子殿下まで!?
ああ、なんということでしょう!
この国は、一体どうなってしまったのですか!?
「……いや、だって汚れも目立つし。第一、国民に下着姿を見せますか? って話だよ」
「見せますか? ではありません!」
私は勢いよくテーブルを叩いた。
「魅せるんです!!」
「……うん、なんかニュアンスが違う気がする」
王子殿下は、困惑した表情を浮かべた。
「むしろ、キミが一回医者に診てもらったほうが……」
「……なっ!?」
私は思わず胸元を押さえた。
「別の男に私の下着を見せるなど!? 王子と言えど、そのような暴言は許されませんよ!?」
「……そうきたか……」
王子殿下は天井を仰いだ。
「……エレオノーラ」
それまで黙っていた王子妃殿下が、静かに口を開いた。
「あなたも、自分の気持ちに素直になって、一度白騎士様とちゃんと話し合ってみたら?」
「……何をおっしゃるのですか」
私は顔を背けた。
「あのような黒パンツを好む男など、もはや……」
「でも、あなたが好きになったのは、彼のパンツではないでしょう?」
「…………」
「彼の勇敢な姿や、誰にでも優しく接するところ。それに、あなたを守ってくれたこともあったのでしょう?」
「……それは……」
確かに。
白騎士様には、何度も助けていただきました。
あの純白の鎧をまとい、魔物の群れから私を救い出してくださった日のことは、今でも鮮明に覚えています。
あの方は、誰よりも気高く、勇敢で、優しい騎士でした。
「……でも……」
「でも?」
「……黒なんです」
「…………」
「パンツが、黒なんです……!」
王子夫妻は、顔を見合わせた。
「……なぁ、妻よ」
「……なんでしょう、あなた」
「……これ、もう放っておいてよくない?」
「……あなた」
王子妃殿下は、困ったように微笑んだ。
けれども、私はどうしても納得できなかった。
だって、白騎士様なのです。
白騎士様なのに、黒なのです!
それがどれほど重大な問題なのか、どうして誰も理解してくださらないのでしょうか。




