§215 三学期はあっという間に
三学期は冬休み終わりから春休み開始まで。
日にちにすると一月一日から二月十八日まで。
つまり実質僅か一月半しか存在しない。
そしてその中身はほぼ試験と補習で占められる。
午前中に小範囲の試験を受け、合格点以下の者は午後に補習。
その繰り返しだ。
逆に言うと合格点以上をしっかりキープ出来れば午後はまるまる自由。
そんな訳で昼食後は大体実験室で皆で作業していたりする。
アルやメルは勿論、ヘラもラインマインもまず補習対象になる事は無いから。
なおアン先輩達三年生は三学期は自由授業。
実際は上位高等学校の試験対策や試験そのものだ。
カウフォードの上位高等学校はキョーナンの上位高等学校と並び、全国でも最高の難易度。
だから自信が無い人は他にゴヤとかクラマントあたりの上位高等学校も併願する。
アン先輩はカウフォードとキョーナンの上位高等学校の併願らしいけれど。
まああの人はここカウフォードでもトップレベルだし、まず大丈夫だろう。
さて、今やっているのは春休み合宿の準備と新人歓迎用の資料作成。
昨年度は事実上アン先輩だけで何もしなかったらしいけれど、来年度はしっかり活動して新入生をそこそこキープしたい。
あまり多くても舟に乗れなくなるので五人位がベストかな。
「取り敢えず工作魔法が使える魔法使いは一人欲しいな」
「あと会計担当も一人欲しいですわ」
「出来れば材質系の工作魔法を使える魔法使いがいるといいな。そうすれば新素材の合成が出来る。タイヤのゴムとかさ」
「ホクトは出来ないの」
「分子の立体構造をイメージするイメージ力が足りないらしい。アン先輩にそう言われた」
「それって方向音痴と同じ理屈なのかな」
「そうかもしれない」
そんな事を話しながら色々作業をしている。
今やっているのは俺がテントの小型軽量版の設計と試作。
アルとメルは浮遊機械を更に改良した飛行機械の制作。
ラインマインとヘラは来年の新人歓迎用のポスターとフライヤー作りだ。
「出来れば新人はいかにも新人という感じの、初々しい小柄な少年が欲しいですわ」
何だそれ。
「ヘラは年下好きだもんね」
「上位初等学校六年の時の家庭教師とその辺の趣味だけは合っていたのですわ。よく勉強しながら正しい少年の理想像について熱く語り合ったりしましたから」
確かヘラの家庭教師って、レマノさんだよな。
カイドーの上位初等学校から何とか一人はカウフォードの上位中に進学させる為という理由で分身を家庭教師にしたんだよな。
とするとヘラの異性の好みはショタなのか。
うーん。
知らない方がよかったと言うべきか……
「顔は美形で私よりちょっと身長低めで、ちょっと頼りない位がいいのですわ。お姉さんが全部教えてあげる、なんていう感じで」
おいおい大丈夫か。
犯罪は起こすなよ。
「そういう意味じゃラインマインやメルはいいわよね。もう相手がいて」
「私は微妙に違う」
お、メルがそんな事を言ったぞ。
「僕とメルの場合は元は契約みたいなものだ。お互いシルダ出身の魔法使いだったり県知事の家系だったりするからさ。フリーだと変なのに目をつけられたら嫌だろ。だからお互いにふさわしい相手に会うまで付き合おうと言っていてさ」
「初等学校の頃からそう言い訳しているんだけれどね、二人とも」
ラインマインがそう付け足す。
つまりは公然の言い訳という事か。
なんだかな。




